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“Qちゃん2世”24歳の新谷が初五輪

 女子5000メートル、15分17秒92の1位でゴールする新谷仁美

 「陸上日本選手権最終日」(10日、長居陸上競技場)

 女子5000メートルで、すでに五輪A標準記録を突破していた新谷仁美(24)=ユニバーサル=が、15分17秒92で初優勝し、ロンドン五輪代表に内定した。女子200メートルでは100メートルで五輪代表に決まった福島千里(23)=北海道ハイテクAC=が23秒35で連覇。2年連続2冠を達成した。また、女子やり投げの海老原有希(26)=スズキ浜松AC=が、62メートル36の日本新記録で優勝、女子400メートル障害の久保倉里美(30)=新潟アルビレックス=が6連覇を達成し、ともに五輪代表に内定した。

 ゴールを切る瞬間、新谷は控えめにピースサインを作っただけだった。「タイムには満足してない。あれでは五輪で戦えないので」。それでも2400メートル過ぎで“トラックの女王”福士を置き去りにすると、あとは突き放す強い内容。“Qちゃん2世”の異名を持つ逸材が、初の五輪切符を手にした。

 興譲館高時代は、全国高校駅伝でエース区間の1区で3年連続区間賞。卒業後は小出義雄監督の門を叩き、高橋尚子の再来といわれ期待された。しかし、10年7月には結果が出ない不安から、当時の所属先の豊田自動織機を飛び出し、無断で実家に帰るなど精神面の弱さを露呈、大成できなかった。「社会人としても、プロとしてもやってはいけないことだった」。心を入れ替えた復帰後は、11年世界選手権にも出場するなど、着実に力を伸ばしてきた。

 今回の圧巻の走りに元祖“Qちゃん”の高橋尚子さんも「自分でペースをつくれるのは、世界が相手でも通用する要素。素質は私の5倍、いや10倍ある」と絶賛した。

 小出監督が「27歳ぐらいでマラソンやってくれたらいいんだけど」、高橋さんも「マラソンならすぐに2時間20分を切れる」と話す素材。が、本人は「私は5000メートルで勝負したい」と、頑(かたく)なだ。初の五輪もあくまでマイペースに突っ走るつもりだ。

(2012年6月11日)

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