吉田雪乃 「大嫌い」なスピードスケート始めて13年、初五輪のメダルで「恩返ししたい」 高木美帆に勝った天真爛漫22歳

 スピードスケート女子の吉田雪乃(22)=寿広=は初めて臨む五輪で500メートル、1000メートルの代表をつかんだ。今季は、ミラノ・コルティナ五輪代表最終選考会を兼ねた昨年12月の全日本選手権の500メートルで優勝し、1000メートルは2位に食い込んだ。昨季から急成長中の22歳は「大嫌い」なスピードスケートを始めて13年。たどってきた競技人生に、それでも続けている理由がある。

 いよいよ、吉田の初五輪の火ぶたが切られる。500メートル、1000メートルに出場する22歳。全日本選手権では、500メートルで2022年北京五輪銀メダルの高木美帆を抑えて優勝。1000メートルは高木に次ぐ2位で五輪切符をつかんだ。スピードスケートの世界に足を踏み入れて13年。恩返しのため、メダルへ全力滑走する。

 盛岡市出身。大雪の日に産声を上げたため「雪乃」と名付けられた。スピードスケートを始めたきっかけは兄・琉太郎さんの存在。当時中学1年生だった兄に連れられ、小学4年生の時に競技を始めた。吉田は「兄が『スケートをやる』って急に言い出して、自分も一緒に見に行ったら『一緒にやろう』って声をかけてもらった」と当時を振り返る。

 小学校、中学校時代には空手、少林寺拳法、陸上など他のスポーツも経験してきた。「兄がやるからおまえもやれって言われて、全部そのルートをたどってきた」と、その多くが琉太郎さんの影響。しかし「スポーツ自体はあまり好きじゃなかった。結果的にはいいので、感謝だけど、あの時は本当に嫌だった」と苦笑いも浮かべた。

 スピードスケートを始めて13年がたつ。強豪の盛岡工高に入学し、一筋になってからはもう7年だ。しかし、吉田の口から競技愛が語られたことは一度もない。「嫌いから入って、好きは一瞬も来なかった。今も好きじゃない。まあ年々、ちょっともっと嫌いになっている」と、オリンピアンとしては衝撃の発言をする。

 「見ていて思いませんか?なんか寒くてきつそうだなって。本当に寒いし、思っている以上にたぶんきつい、夏もきついし、冬もきつい」と、とにかくディスる。高校卒業後の進路を決める時も、スピードスケートを続けるか、辞めて大学に進学するかで心は揺れた。そんな時、競技続行を決めたのは植津監督の存在があったからだった。

 吉田自身、高校に入ってから実力が伸びたと自覚している。3年時には全日本ジュニア、インターハイ、国体500メートルで優勝し、3冠を達成と輝かしい成績を残した。「(植津)先生の下でここまで伸びた。なんかこれだけじゃ恩返しになってないなと心残りがあった」。元々は、大学進学に心が傾いていたというが、結果で恩返しするために競技人生続行を決めた。

 五輪出場が一気に現実味を帯びてきたのは、昨シーズンだった。「(行きたいと)心の中で思い始めたのは昨シーズン。急に見えてきた」。24~25年シーズンはW杯で2勝。現在もその成長は止まることない。

 リンクの外では、いつも笑顔で天真爛漫(らんまん)。スイーツが大好きで、1日3軒もカフェを巡ってスイーツを楽しむこともあるという。そして、何よりの癒やしは3匹の愛犬。盛岡市の好きな場所を問われると「家です。犬がいるところがいい」と言うほどだ。チワワ1匹とミニチュアダックスフント2匹に囲まれ、エネルギーチャージしている。

 五輪開幕まで約2週間。2月9日の1000メートルが吉田の最初の種目だ。「植津先生に恩返ししたいっていう気持ちが、一番にあった」「毎日辞めたいと思っていた」という大嫌いなスピードスケートも「誰かのために、と思った方が自分は強くなれる」と必死に続けてきた。支えてくれたたくさんの人へ、必ずメダルを届ける。

 ◆吉田雪乃(よしだ・ゆきの)2003年1月29日、盛岡市出身。小学4年生から競技を始めた。盛岡工高3年時に500メートルで全日本ジュニア、インターハイ、国体で3冠に輝いた。22年1月には世界ジュニア選手権500メートル2位、1000メートルは優勝。昨季は500メートルでW杯2勝。今季は第4戦で勝利。寿広所属。164センチ。

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