広島は「矢野を何とかしなければいけない」内田順三氏の視点 「課題は明確」スピード野球復活のキーマンに

 広島はリーグ5位に終わり、2年連続のBクラスに沈んだ。今季の反省と収穫を踏まえ、来季への課題はどこにあるか。新井貴浩監督の選手時代も指導に携わった内田順三氏(デイリースポーツ・ウェブ評論家)は、攻撃面での「スピード野球の復活」をカギに挙げた。 

  ◇  ◇

 シーズン終了の挨拶で、新井監督がヤジやブーイングを浴びた。彼の性格からして、「来年以降も苦しみは続いていくと思います」という発言に悪気はなかったと思うが、ファンからすれば「絶対にやり返す」とか、「必ず巻き返す」という言葉を聞きたかったはず。ファンも勝つことを強く望んでいるよね。

 間もなくドラフト会議はあるが、ルーキーに過度な期待はできない。勝つために、まずは今いる選手でどうしていくか。今年は小園、さらにファビアンとモンテロの外国人はある程度機能していた。そして、伸びた選手で真っ先に挙がるのは中村奨成。凡打をしても余裕が出てきたし、形になってきた。来年は6番、7番、いずれはクリーンアップを打つ選手になれると思う。

 後半はルーキーの佐々木泰も使われていたが、「脳力」をつけなければいけないね。初球からどんどん打ちにいく積極性はいいが、次の段階にいかなければいけない。技術的には勢いをつけようとするからステップ幅が大きい。半分になれば、もっとヘッドが生きたスイングができる。

 チームとしては、もともとカープの持ち味であった「スピード野球」を見直すことが必要だ。今の野球、投手のレベルが上がり、ファームでも150キロは当たり前。打走面を意識して、いかに1点を奪えるか。相手が足を警戒すれば、自然とストレート系は多くなり、狙い球も絞りやすくなる。

 今のチームにもスピードのある選手はいるが、その中でも矢野を何とかしなければいけない。今季は徐々に出番が減ったが、彼はスピードがあり何より守備力での貢献度は大きい。課題は明確で、バッティングスタイルを変えないといけない。塁に出ようとする意識、ファウルを打つのも大事だが、最初からファウルを打ちにいくのは違う。タイミングを変え、打つポイントを覚えないといけない。

 チームメートの羽月はグリップが極端に太いバットを使っているが、あのバットは短く持っているのと同じになり、左肘も入りやすくなる。パワーのない選手には効果的だし、矢野も自分に合う道具を探すことも必要だ。

 最後に坂倉にも触れるが、彼は「打てるキャッチャー」だから。キャッチャーあっての坂倉。サードは佐々木、ファーストには外国人もいるし、外野で使うのはもったいない。盗塁阻止率を突っ込まれるかもしれないが、石原や藤井といった元捕手のコーチがいる訳だから、スローイングを修正して生かすことを考えたほうがいい。彼が6番くらいにいると打線の厚みも違う。

 来年へ向けた秋季練習では「量で質を作る」ことも大切だが、ただ漠然とやってもいけない。能力がある選手はたくさんいるから、「脳力」も使って技術を上げていってほしい。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

広島カープ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス