広島・新井監督「クッソー、見とけよ」 22度目の護摩行、極限状態で炎の頂点見つめ「今年、絶対に高く跳び上がる」

 広島・新井貴浩監督(48)が21日、和歌山県高野町の高野山清浄心院で恒例の護摩行を実施した。現役時代の2004年12月に始めて、今回が22度目。昨季は5位で2年連続Bクラスに沈んだ悔しさをたぎらせ、「クッソー、見とけよ」という思いで約2時間にわたって炎と向き合った。「背暗向明」の精神で逆襲の道のりを進む。

 眉毛とまつげはもう防波堤の意味を成していない。額からとめどなく伝う汗と目の前の護摩木から巻き上がる熱波と煙。高さ最大3メートル、最高400度になる火柱を前に新井監督は一瞬、目を強く閉じた。そして目いっぱい見開くと炎の頂点を見た。「今年、絶対に高く跳び上がる」。強い思いが乗った火柱はさらに燃えさかった。

 荒行の最中は「基本的には何も考えられない」ほどに心身が追い込まれる。そんな極限状態で湧き上がってきた感情は悔しさだった。自らが指揮するチームは昨年5位に終わり、2年連続Bクラスという位置に沈んでいる。「クッソー、見とけよ」。自らを奮い立たせるように一心不乱に経を唱え続け、顔は真っ赤にやけどした。

 「元来、逆境になればなるほど燃える」と語る。不屈の闘志は護摩行でも培われてきた。現役時代、池口恵観大僧正(89)から「背暗向明(はいあんこうみょう)」という仏教用語を授かった。「暗い方を振り返らず、光が明るく差す方にひたすら向かって行け」という意味で苦しい時に支えにしてきた言葉だ。

 今回、護摩行終了後に拝聴者に向けてあいさつした際に、この「背暗向明」を引き合いに出した。「どうしても成績が悪い時、負けが込んできた時というのは、暗くなりがちです。また暗いものが寄ってきがちになります。なので、その暗いものを振り払って、光が差す方向だけを見て、今年一年しっかりと戦っていきます」と宣言。お堂の端で耳を傾けていた池口大僧正も、この言葉に小さくうなずいた。

 現役生活を終えてもなお、護摩行に足を運ぶ理由は「逃げたら自分自身から逃げているみたいで嫌。何事も継続していくのは大切」という思いから。その信念は変革期のチームづくりにも通ずるものがある。未来を考えて育成から逃げない心と、それを根気よく続けていく心意気。長年の修行の真価が今、試されていると言っても過言ではない。

 2月1日から始まる春季キャンプでは結果主義で競争させ、そこで巻き起こる化学反応に期待する。「早く始まってほしいですね。待ち遠しい」。原石を磨き、光を見いだし、愚直に明るい方へ突き進む。

 ◆背暗向明(はいあんこうみょう) 真言宗の開祖、空海が説いた教え。弟子の真済が空海の言葉を編さんした漢詩文集「性霊集(しょうりょうしゅう)」にある「心暗きとき遭うところ悉(ことごと)く禍(わざわい)なり。眼(まなこ)明らかなれば途(みち)に触れて皆宝なり(心が暗く迷いのある時はあらゆる出来事が災いのように感じられるが、心の眼が清く明るくあれば触れるもの全てが宝となる)」という一節からきている。

 【新井監督、就任後の護摩行】

 2023年1月19日 監督就任後初の護摩行。2メートル近く燃えさかる火柱の前で約1時間40分に及んだ荒行。「広島優勝 心願成就」の言葉を繰り返し叫び続けた。

 24年1月18日 高さ3メートル近い火柱を前に約90分間読経を繰り返す。「優勝して日本一になるのは当然の目標。選手がなるべくケガをしないように」と祈念。

 25年1月18日 約2時間、高さ3メートルまでに達した火柱の前で「広島優勝 心願成就」と絶叫しながら祈願。

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