大相撲 今年11月場所後に宮城野部屋預かり解除検討の指示あった【日本相撲協会発表全文】

 日本相撲協会は2日、両国国技館で臨時理事会を開催し、史上最多の優勝45度を記録した元横綱白鵬の宮城野親方(40)から提出された6月9日付けの退職願を受理した。

 元幕内北青鵬の暴力問題により昨年4月から宮城野部屋は閉鎖となっていたが、今年に入ってから八角理事長(元横綱北勝海)より「準備期間を踏まえ、預かりの解除を11月場所後とすることを検討するように」と指示が出ていた。伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が「近いうちに部屋は再開されるのだから、もう少し辛抱してみてはどうか」と何度も宮城野親方(元横綱白鵬)を説得したが、本人の意志は固く退職の意向を示したという。

 宮城野部屋力士は、今後も継続して伊勢ケ浜部屋が預かる。指導育成を臨む年寄が協会に申し出た場合は、理事会で審議していく。

 報道陣に対しては「伊勢ケ浜部屋の継承および宮城野部屋の今後について」と題し、報告した。全文は以下の通り。

 【伊勢ケ浜部屋の継承および宮城野部屋の今後について】

 令和6年2月23日の理事会で、年寄宮城野こと白鵬翔は、弟子の暴力に関する監督責任や協会への通報義務違反、協会の調査の妨害行為などで懲戒処分を受けました。同時に、宮城野には、師匠としての素養、自覚が大きく欠如していることが確認されたことから、宮城野部屋力士らを伊勢ケ濱一門で預かり、師匠・親方としての指導・教育を行うことになり、現在まで、伊勢ケ濱部屋での預かりとなっていました。

 しかしながら、この度、年寄宮城野より、令和7年6月9日付の退職願が提出されたことから、本日の理事会では、最初に、伊勢ケ濱部屋で預かりとなっている宮城野の弟子らをどのように処遇すべきかを審議しました。

 まず、一門の理事である浅香山理事、宮城野部屋を預かっている伊勢ケ濱親方、また、両親方から毎場所後に状況報告を受けていた春日野理事より、それぞれ報告がなされました。

 浅香山親方は「今年の一月場所から、継続して宮城野部屋の再開については話をしていた。そのような中で、伊勢ケ濱親方が停年退職するにあたり、七月場所から伊勢ケ濱部屋の師匠が交替することから、八角理事長より『今後は浅香山部屋で預かること、準備期間も踏まえ、預かりの解除を十一月場所後とすることを検討するように』と指示があり、その方向で宮城野に説明し、幾度となく思い留まらせるよう話をしたが、宮城野は退職の意向を示した」と報告しました。

 伊勢ケ濱親方は「何度も宮城野を説得し、近いうちに部屋は再開されるのだから、もう少し辛抱してはどうか、と慰留を試みたが、本人の意思が固かった」「慰留できず、申し訳ない」「宮城野は自身の弟子のことを心配していて、いずれ宮城野部屋が復興できるように、伊勢ケ濱部屋での預かりを継続して欲しい、と話していた」「宮城野の弟子らとも話をしたが、皆、それを望んでいた」と報告しました。

 春日野理事は「執行部では、昨年預かりとなって以降、場所毎に浅香山理事、伊勢ケ濱親方から、状況の報告を受けていた」「今年に入り、三月場所では、浅香山理事も交えて執行部で協議したが、宮城野は退職の意向のようだ、と聞いていた」「また、退職の意向もあってか、伊勢ケ濱親方からは『宮城野は、弟子の指導に身が入っていないようだ』とも聞いていたので、早期の再開の話は出せなかった」と報告しました。

 これらの報告を受けたあと、令和7年6月9日付けで宮城野の退職願を受理すること、宮城野部屋の力士らの今後については、過去に同様の前例がないものの、力士らのことを第一に考え、当面は伊勢ケ濱部屋で継続して預かること、今後、宮城野部屋力士らの指導育成を望む年寄が協会に申し出た場合は、その是非や形態について、その時の状況やその時の伊勢ケ濱部屋師匠の考え等を総合的に考慮し、理事会で審議し決定することを、全会一致で可決しました。

 また、その後、令和7年6月9日付で、年寄伊勢ケ濱こと杉野森正也が宮城野名跡を継承襲名すること、同日付で力士名年寄である照ノ富士こと杉野森正山が伊勢ケ濱名跡を継承襲名すること、同日付で年寄伊勢ケ濱こと杉野森正山が伊勢ケ濱部屋を継承することが審議され、すべて全会一致で可決しました。なお、年寄宮城野こと伊勢ケ濱正也は、7月6日以降は参与としての雇用が認められ、伊勢ケ濱部屋に所属いたします。以上。

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