サニブラウン 9秒台で準決勝進出 日本人初ファイナリストへ「歴史作りに来てるんで」
「陸上・世界選手権」(15日、ユージン)
開幕し、男子の100メートル予選ではサニブラウン・ハキーム(23)=タンブルウィードTC=が向かい風0・3メートルの7組でいきなり9秒98をマークして1着となり、16日の準決勝に進出した。9秒台は自身3度目。9秒95の日本記録更新、そして夢のファイナリストも視界に捉えた。10秒12で4組3着の坂井隆一郎(大阪ガス)も準決勝へ進んだ。
完全復活の先へ、日本のエースが走りだした。サニブラウンはスタートから1人前に抜け出すと、中盤でも圧倒。最後は余裕のある走りを見せつつも、先頭は譲らなかった。タイムは自己ベストに0秒01に迫る9秒98。自身3度目の9秒台も、「タイムは気にせず走っていた。取りあえず9秒が出たんだぐらいの感じ」とあくまで冷静だった。
課題のスタートが完璧にハマった。6月の日本選手権決勝ではスタートの反応が出場8人中最下位の0秒157と出遅れたが、今レースでは9人中2番目の0秒112で飛び出した。「しっかりスタートが出られた。あしたにつながる、ものすごくいいレースだった」と大きな収穫を得た。
苦しみを乗り越えて今季の好調がある。19年に9秒97、9秒99を相次いで出した実力者だが、昨年は「歩くだけで神経痛」というヘルニアに苦しんだ。200メートルで挑んだ東京五輪は予選敗退。五輪後は「全てをリセットする、陸上のことは考えないような1カ月」を過ごしただけに、「久々に万全の状態で出られている。この舞台を大いに楽しめれば」と充実感がある。
17、19年大会の準決勝は、いずれもスタートで失敗。今大会は“三度目の正直”に挑む。世界選手権の決勝進出となれば日本人初、五輪を含めても1932年(ロサンゼルス)の吉岡隆徳以来90年ぶりの快挙だが、サニブラウンは「歴史作りに来てるんで、(準決勝を)通っただけじゃ満足できない。もっともっと上を狙っていきたい」とさらなる高みを見据えている。
「真の壁」に掲げるのは日本記録の9秒95を上回る9秒90。「この大会に“いた”だけでなく、しっかりいい結果を残したい。過去の自分を超えて、さらに前に進んで歩ければ」。軽やかに言ってのけた23歳の目は、闘志に燃えていた。
◆サニブラウン・アブデル・ハキーム 1999年3月6日、福岡県生まれ。ガーナ人の父ラティフさん、日本人の母明子さんとの間に生まれ、小学3年から本格的に陸上を始めた。15年7月の世界ユース選手権で100、200メートルの2冠。同年8月の世界選手権200メートルで大会史上最年少で準決勝進出。17年世界選手権では史上最年少の18歳5カ月で200メートルのファイナリスト。19年6月の全米大学選手権100メートルで当時の日本記録9秒97をマーク。米フロリダ大に進学し、スポーツマネジメントを専攻。190センチ、83キロ。





