カープ中村奨成「生き残れるように」 覚悟の護摩行初参加「逃げてきた」弱い自分と決別
広島・中村奨成捕手(24)が9日、鹿児島市内の最福寺で会沢翼捕手(35)、堂林翔太内野手(32)、末包昇大外野手(27)と護摩行に臨んだ。自ら志願し、初参加。17年にドラフト1位で入団してから思うような結果を残せていない中、自らを変えるきっかけにするべく炎に立ち向かった。またFAで移籍した西川の穴を埋めるべく、今季は外野で勝負する決意も示した。
過去の弱い自分とはこれで決別だ。顔をゆがめながらも、高さ2メートル近い火柱に対して一歩も引かない。呼吸をするのもやっとの中、中村奨は最後まで経を唱え続けた。
「こういうきついことから今まで逃げてきたんだなと。何かを変えないといけない。護摩行を経験して変わった姿を見せたいという覚悟でここに来ました」。今季に懸ける強い思いが体現された60分だった。
やけどで真っ赤になった顔と首が苦行の過酷さを物語っていた。「想像の倍以上きつかったです」と苦笑い。8年連続での参加となった会沢が横に座る中「ついていくのに必死ですし、とにかく負けたくない気持ちでやりました」と最後まで食らいついた。
燃えたぎる炎の前でずっと考えていたのは野球のことだった。「やっぱりカープでまだまだ野球がしたい。自分自身このまま終わってしまうと悔いが残る。もう一回初心に戻ってやっていきたい」。背番号が22から96に変更となる今季は、一から自分を見つめ直し真摯(しんし)に野球に取り組む覚悟だ。
初心に返るため今オフは母校・広陵高で練習を積んでいる。「僕の原点は広陵。去年も帰ってましたけど、がっつり練習をすることはなかった。そこで練習することによって身も引き締まる」。3年夏の甲子園で1大会最多記録の6本塁打をマークしたかつてのスターは、原点に立ち返りスタートを切っている。
今オフはレギュラーだった西川がFAでオリックスへ移籍。外野に大きな穴があいている。「試合に出るために今年は外野がメインになる」と外野一本勝負を明言。昨季は出場18試合で打率・150と大きなアピールが必要な立場だが「守れて、走れて、打てる外野手になれるようにしっかり準備して挑みたい」と気合十分だ。
崖っぷちで迎える7年目。「とにかく結果を出すこと。試合に出て生き残れるように頑張ります」と表情を引き締める。今季に懸ける熱い思い。燃えたぎる“心の火”は苦行を乗り越え、さらに燃え上がった。