丸 初本塁打の横浜で決めた1000安打 プロ11年目! 不動の3番もっと上へ

 「DeNA2-1広島」(30日、横浜スタジアム)

 広島・丸佳浩外野手(29)が三回に鮮やかな中前打を放ち、プロ野球293人目、球団では22人目の通算1000安打を達成した。29歳2カ月での到達は球団では5番目の速さ。六回にも1001本目の二塁打を放ち、八回には四球を選んだ。チームは2連敗となったが不動の3番は「また明日から自分の仕事ができるように準備したい」と力を込めた。

 真夏を思わせるような暑さの中、記念の花束を受け取った丸は敵地ながらぎっしり埋まった三塁側のスタンドへ感謝の視線を向けた。1点リードの三回1死一塁。節目の一打は丸らしい打球だった。先発・東の外寄りスライダーに逆らわず、ライナーでセンター左へ運んだ。

 「昨日打てていなかったので。1000本がどうこうはないですけどチームに貢献できるように思っていた。1000本の後にすぐに打てたので、そっちの方がうれしいです」

 プロ11年目。プロ初本塁打を放った横浜で通算1000安打に到達した。今季は4月下旬に右太もも裏を痛め「数少ないこだわり」と話していた連続試合出場は700でストップした。長期離脱も心配される中、5月下旬に1軍へ電撃復帰。その前日には大野練習場に駆けつけた報道陣を「大事なことがあるので」と待たせ、リハビリ中にお世話になったスタッフ一人一人とがっちり握手した。感謝を伝え、1軍での恩返しを誓った。

 「極めたとかは全く思っていないです。打率も3割にこそ乗りましたけど、特別高いというわけではないので」

 昨季は143試合に出場し、打率・308、23本塁打、92打点。MVPに輝き最高の1年を送ったが、シーズンが終わるとすぐさま動きだした。昨秋のキャンプでは連続ティーが日課。夕暮れ時の日南で、緒方監督が上げるトスに、一心不乱にバットを振り続けた。

 どん欲な姿勢は異次元の数字となって表れている。出塁率は昨季の・398から今季は・504に、長打率も同・505から・623まで上昇した。リーグ断トツの数字の裏には「軸とした考え」がある。最も大事なのは「まず打ちにいく。ピッチャー(との勝負)にしっかり入っていくこと」と丸は言う。その中で「ボールを見逃す、スイングする」。その精度が上がることで「ヒットになる確率、ボールを見逃せる確率も増えてくる」と求道者はうなずく。

 「(試合に)出させてもらっている立場なので。自分の打率も求めないといけないけど、チームの勝利に貢献したい。また明日から自分の仕事ができるように準備して思い切ってやっていきたい」

 特別な一日を白星で飾ることはできなかったが、六回には1001安打目となる中堅への二塁打を放った。1000安打もあくまで通過点。リーグ3連覇、悲願の日本一へ。丸はすべての打席をチームにささげる覚悟だ。

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