広島 最大の悩みは“誤算”の6外国人
交流戦で苦しんでいる広島だが、リーグ首位を走っている。その最大の要因は間違いなく外国人選手の存在だ。投手ではバリントン、ミコライオ、フィリップス、野手ではエルドレッド、キラ、ロサリオの6人の助っ人陣。いわゆる“ポンコツ外国人”は奇跡的に1人もいない。
他球団から見れば、うらやましい限りだろう。しかし、野村監督は頭を悩ませている。悩みと言ってもうれしい悩みだが。「外国人枠という問題があるからねえ」。誰を1軍で使えばチームにとって効果的か、常に頭の中で起用方法をシミュレーションしている。
開幕はこれまでの実績から、バリントン、ミコライオ、キラ、エルドレッドの体勢でスタートした。誰かが悪ければ交代できるように、フィリップスとロサリオは2軍で準備していたが、1軍の4選手はチームを引っ張る活躍を見せた。
だがキラが死球で負傷。ここで昇格したロサリオは予想以上の打撃力を発揮した。5月に入り、ミコライオが左足内転筋痛で離脱。代わりにフィリップスが上がると、好投を続けた。
野村監督としても“誤算”だったのはロサリオだろう。外野の守備ではミスが目立ったが、打撃ではキラ、エルドレッドに負けないパワーを発揮。今季2度1軍に昇格したが、不思議なことに降格する直前で爆発した。最初の降格前の試合となった5月10日の阪神戦(甲子園)では、4打数4安打1本塁打2打点。2度目降格前は6月1日の楽天戦(コボスタ)で、4打数2安打1本塁打2打点。なぜか去り際に打ちまくり、指揮官の頭を悩ませた。
「本当に難しいんだよ。ロサリオのあの打撃は魅力なんだけどね。俺の気持ちを察してくれよ」。指揮官は入れ替えを決断したとき、報道陣にこぼした。打撃ではキラよりも好調なのは理解している。守備力には問題があることを理由に、ロサリオの2軍降格を決めたが、最後まで「これでいいのか」という思いはあったようだ。
かつて広島でこれだけ複数の外国人が活躍したことはあったのか。最近では04年が印象的だ。ベイルが11勝、シーツが打率・284、28本塁打、85打点、ラロッカが打率・328,40本塁打、101打点。いずれも好成績をマークしたが、今季の外国人勢にはそれを上回る可能性がある。
勝手に6人の順位を付けてみると、バリントン、エルドレッド、キラ、ミコライオ、ロサリオ、フィリップスか。ただロサリオが守備を安定させ、常時出番を与えればエルドレッド以上の活躍を見せるかもしれない。フィリップスもまだ底を見せていない。最終的にどれくらいの働きをしてくれるのかは分からないが、彼らがカープの23年ぶり優勝の命運を握るのは間違いない。
(デイリースポーツ・菅藤 学)