鈴木誠也140メートル弾 復活へ首脳陣も太鼓判 開幕照準ピタリ

 「広島春季キャンプ」(2日、日南)

 右くるぶし骨折からの復帰を目指す広島・鈴木誠也外野手(23)が2日、今キャンプ初のフリー打撃に臨み、推定140メートルの超特大弾を放った。復活と進化を示した打撃に、首脳陣は太鼓判を押し、他球団のスコアラーは仰天した。若き主砲は開幕戦出場に照準を合わせ、南国の地で全快へ向けて回復スピードを加速させる。

 日南の青空に異次元の打球が伸びた。最高気温11度。ぽかぽか陽気に誘われて、鈴木が超特大弾を連発だ。昨秋キャンプ以来、久々の屋外フリー打撃で復活を強烈に印象づけ、昼下がりの天福球場をどよめきが包んだ。

 「室内で打つよりも開放感があった。お客さんがいる中で力みも出たけど、キャンプ独特の雰囲気も感じられました。しっかり振れたし、良かったです」

 安室奈美恵の「Hero」をBGMに、約2200人の観衆の視線を独り占めにした。29スイング目に左翼席へ“日南1号”を突き刺すと、42スイング目に左中間席後方にある斜面の芝生へ推定140メートルの一撃を着弾させた。さらにバックスクリーン直撃を含む3連発で見ている人の度肝を抜いた。86スイング中、柵越えは8本。安打性の当たりは38本を数えた。

 東出打撃コーチが「打撃に影響はない」と断言したように、右足の回復は順調だ。そんな姿にネット裏でチェックした他球団スコアラーも警戒を強めた。開幕カードでぶつかる中日の鈴木スコアラーは「(開幕に)いるものと思っている。いるといないでは守備、走塁、トータルで考えて全然違う」。開幕2カード目で対戦するヤクルトの衣川スコアラーも「インパクトが強い。他の人も見ているけど飛び抜けている」と異次元のパワーに脱帽した。

 温暖な気候が復活を後押しする。この日は凍えるような寒さに見舞われたキャンプ初日から一転して、南国の太陽が顔を出した。鈴木は「風です」と飛距離に関心を示さなかったが「暖かいところでやるのは初めて。もう少し暖かくなったら何ができるのか楽しみ」と声を弾ませた。2次キャンプ地の沖縄行きも決定し、今後さらに回復は加速しそうだ。

 一方で慎重な姿勢も崩さなかった。この日は柔らかい黒土の上でスイングし、軸足である右足の踏ん張りに不安定さも覚えた。打撃内容より「足のことで精いっぱい」という言葉が偽らざる本音だ。照準は開幕戦。焦らずじっくりと、復活への階段を上がっていく。

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