「巨人１－２阪神」（１４日、東京ドーム）

　巨人が阪神に逆転され、１点差で押し切られる悔しい敗北を喫した。走塁ミスあり、丸に代打が送られるショッキングなシーンあり。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「奮起すべきは丸。とにかく悪すぎる」と３番打者を斬り捨てた。

　あっさりと引っ繰り返され、そのまま逃げ切られるとはね。僅差なのに、まるで横綱相撲を見ているようだった。昨年までと立場が逆転してしまったような感じだ。

　投手戦だけに数少ないチャンスを生かしたいところだったが、二回の巨人の攻撃に残念なシーンがあった。

　一死一塁から吉川がセンター前へヒットを放ったが、一塁走者の若林が三塁でタッチアウト。投球と同時にスタートを切っていながら、二塁ベース前でスピードダウンしたのが原因だった。

　一気に走っていれば一死一、三塁。その後の展開が大きく変わっていた可能性があっただけに惜しかった。

　カウントは３－２。盗塁かヒット・エンド・ランのサインが出ていたのだろうが、恐らく盗塁だったと思う。

　どちらにせよ、ボール球なら見送ればいいわけだが、吉川は低めの難しい球をうまく打った。ここまではよかった。

　ところが、ライナー性の打球が若林を躊躇させたのか。一瞬、二塁ベース前で止まりかけた。

　打球が上がれば「バック」だが、低い打球は「ゴー」というセオリーがある。あそこは一気に三塁へ向かうべきで、若林の打球判断の甘さと言わざるを得ない。

　今の巨人打線は坂本抜き。ただでさえ苦しいのに丸が不調。これが攻撃を重苦しくしている最大の原因とも言える。むしろ本質的な部分はこちらにあるのかもしれない。

　八回は一死一塁の場面で代打・中島がコールされた。３番打者の丸に代打が送られた。

　それまでの３度の打席で三振が２度。いずれも速球に振り遅れる空振りだった。ベンチが岩崎のストレートについていけないと判断したのも理解できる。

　本人にも自覚症状があるのか、打席の中で構えを小さくしたりして、何とか対応しようとしているように見えた。スピードボールに苦しんでいることは相手の梅野も分かっていたと思う。

　奮起すべきは丸だろうね。今は状態が悪すぎる。

　ただ、負けはしたけど、三回に見せた梶谷のスライディングは見事だったと言える。一死満塁から岡本のレフトへの犠牲フライで生還した。

　スタートはやや遅かった。深めの飛球は余裕をもって。浅めの飛球は素早いスタート。これもセオリー。

　この点で注文はつくが、最短距離で一直線にホームベースへ足から突っ込んだからこそ、間一髪でセーフになった。このスライディングは本塁突入のお手本でもある。

　今はコリジョンルールで本塁は完全に空いている。だから回り込んだりする動きは不用なんです。

　ところが、足からスライディングしながら左手でベースタッチするシーンをよく見かける。これでアウトになることがある。巨人も今季、岡本がこのケースでアウトになっている。

　ヘッドスライディングなら別だが、一番先にベースに入るのは足先。手でベースに触れた時点で、足はベースを通過していることになるからだ。

　成功と失敗。好プレーと拙いプレー。それらは野球につきものだが、ミスが少なければ勝利に近づく。早く巨人らしい野球を取り戻し、首位争いを面白くしてもらいたいね。