車いすで踏みしめる甲子園-山城来 分析担当、具志川商旋風を巻き起こす

 ネット裏からナインの練習を見守る山城来マネジャー
 仲間と共にポーズを決める具志川商・山城来マネジャー(中央)=撮影・高部洋祐
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 「第93回選抜高校野球大会」(19日開幕、甲子園球場)

 2年ぶりのセンバツが19日に開幕する。21世紀枠で初出場をつかみ取った具志川商(沖縄)には、大の虎党である車いすの少年が在籍している。思い出深い甲子園球場に今回は主役の一人として訪れ、第3日の第1試合で同じく21世紀枠の八戸西(青森)と対戦する。

 小さい頃から憧れ続けた甲子園に、車いすの少年がやってくる。

 「出場が決まった時は本当にうれしかった。甲子園はそこに立ったら、見てるみんなが応援したくなる。そんな場所に選手たちが立つんだと思うと、とても感慨深いです」。具志川商のマネジャー・山城来(らい)君(3年)は、グラウンドで汗を流す仲間を誇らしげに見つめた。

 山城君は、脳性まひで幼い頃から車いすで生活している。これまでに3度の手術も経験した。そんな少年が野球に目覚めたきっかけが高校野球だった。

 2010年夏。当時のエースだった島袋洋奨が6試合中4試合で完投するなどして、興南が史上6校目となる春夏連覇を達成した。それをテレビで見ていた6歳の山城君は、一瞬で野球のとりこに。そこからは、毎年阪神のキャンプを見学したり、甲子園で観戦したりと野球が生活の一部となった。

 高校1年になり、ひとつの思いが芽生えた。「野球部に入りたい」-。初めは体が不自由なこともあって消極的だった。だが、チームメートの比嘉力太捕手(3年)が誘ってくれたこともあり、入部を決意。喜舎場正太監督(33)は当初、「何をさせてあげられるだろう…」と悩んだというが、山城君の真っすぐな思いを尊重した。

 今では、チームにとって欠かせない部員の一人だ。役割は対戦校の分析。県大会前には相手チームの練習試合などに出向いて動画を撮影したり、打球方向や配球を分析してナインに伝える重要な仕事を任されている。

 昨年8月には「迷惑がかかるから」と諦めていた合宿にも初めて同行した。「もっとチームに貢献したい。今は歩けるようになろうと思って、毎日リハビリを頑張っています。甲子園はベンチに入れないけど、スタンドの最前列でみんなの姿を目に焼き付けたい」と力を込めた。大好きな仲間とともに、憧れの聖地で“具志川商フィーバー”を巻き起こす。

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