ティースタンド・サクゴエ人気上昇中 自主練の味方だ 大阪の町工場が開発

 バットに当たる樹脂部分はほぼ無抵抗で倒れて自然に起き上がる
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 大阪市の町工場の知恵で完成した打撃練習用のティースタンド、サクゴエくん(製品名「サクゴエ」)の人気が上昇中だ。ボールを乗せる樹脂部分の傷みが激しいなどの難点があったが「倒れない、壊れない、ボールの下半分を叩ける感触」にした“優れもの”。昨夏の甲子園で優勝した履正社が昨春から使いながら改良を重ね、大工大との産学連携もあり、昨夏に販売モデルが完成した。球界は新型コロナウイルスの感染拡大でチーム練習が休止中、自主練習の大きな味方としても注目されそうだ。

 野球用具のイノベーションだ。大阪市の町工場でつくる「ガレージミナト」の運営主体の金属加工会社の成光精密などが開発したティースタンドが「サクゴエ」。ベンチャー企業からの要望を受けるガレージミナトは「世界のモノづくりの課題を解決する」がコンセプトだ。

 新しいティースタンドの提案を持ち込んだのは、奈良県野球連盟所属のクラブチーム「関西HANG硬式野球団」も運営するスポーツ機器開発のHANG(ハング)の弓場直樹社長(44)ら。成光精密、土井商店、南歯車、西村鐵工など7社が集まって知恵を出し合った。

 これまでのティースタンドはボールを打ったときに倒れる、ボールを乗せる先端部分が一緒に飛んだりして損傷も激しい、ボールだけでなく先端部分も一緒に叩くので違和感があるなど、選手目線での不具合が多かったが、すべてを解決した。

 「できないと言わない対応力」をキャッチフレーズにしている成光精密の高満洋徳社長(44)は「町工場は機械的、原理的なことは強い。あらゆる材料を扱っているので、感覚的に安くて強度が強いものをつくることにも鍛えられている」とプロの技術を強調する。

 ボールを置く先端部分を従来のゴム板からゴム支柱にした。このゴム支柱分をこれまでのように固定するのではなく、鎖で重りをつけてスタンドに差し込んだのがミソ。バットがゴム支柱部分を叩くと自然に倒れ、しかもバットを振り抜くと「起き上がりこぼし」の原理で再び立ち上がる。

 簡単に倒れるので、支柱を叩く抵抗感がなく、ボールの下だけを叩くような感触となる。ゴム板のころは、バットから受ける衝撃もあって1カ月ぐらいで痛んでいた支柱部分が長持ちするようになった。

 試作品を大阪の履正社高に使ってもらい、要望を受けながら改良を重ねて昨夏に商品として完成したのがバージョン5。4月末には樹脂の取り付け部分をさらに改良したバージョン6が販売される。創価大野球部OBの弓場社長は「自分が野球をしていたこともあって、置きティーのプレゼンをさせてもらいました。野球界の課題に貢献できたのかなあと思います」と振り返る。

 新型コロナウイルスの感染拡大で4月以降、プロから社会人、大学、高校などのチーム活動はほとんどが休止となっている。5月にハング東京営業所長となる門脇寿光さん(47)は「一日も早く、グラウンドで思いっきり使ってもらえる日が来てほしい」と話した。

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