報徳学園・糸井3安打2打点!はとこ嘉男ばり「超人」だ 8年ぶり8強導いた

 「第100回全国高校野球選手権・3回戦、報徳学園7-2愛工大名電」(16日、甲子園球場)

 3回戦4試合が行われ、報徳学園は愛工大名電に7-2で逆転勝ち。8年ぶりの8強入りを決め、春夏通算60勝(春32勝、夏28勝)に到達した。阪神・糸井嘉男外野手(37)のはとこにあたる糸井辰徳外翼手(3年)が3安打2打点と、憧れの“ヨシにいちゃん”の本拠地で躍動した。報徳学園は準々決勝(18日)で済美と対戦する。

 リズムをとるように打席に入る。ちょっと妙な動きだ。しかし、これが糸井流。「最近、固まって余裕がなかったので」。初戦の聖光学院戦で内野安打1本だった5番打者は、大角健二監督(38)から「元に戻していいぞ」と言われて目が覚めた。二回は詰まりながら右前へ。三回2死満塁では死球で勝ち越しの打点を稼いだ。本領発揮はここからだ。五回には低めのチェンジアップをすくい上げて左越えへ技ありの適時二塁打。七回も中前打で3安打2打点、4打席すべて出塁した。

 「ヨシ兄ちゃん」「タツ」と呼び合うはとこは、子供の頃に「走り方、投げ方、全部まねした」という憧れの存在。小学生の時には打撃フォームを修正してもらい、サイボーグのような肉体を見て驚いた。中学時代にもらった木製バットは高校の寮に置いて素振りで感触を確かめる。8強入りへの貢献は、まねし続けているフルスイングのたまものだ。

 キャラクターもどこかかぶる。部室に「グローブを忘れた」と来てスパイクを持って出ていった、宿舎で記録員の部屋に「洗剤ちょうだい」と来て飲み物を持って出ていったなどチーム内に天然エピソードは山盛り。しかも、入学してから腰、右足首など4度の故障を経験した超人だ。1年秋、試合のボールボーイをしていた時にはフェンスに当たったファウルボールが鼻を直撃。「ボールボーイの治療のため中断します」とアナウンスされる事態になった。その上、救急車で運ばれながらたった4日で元気に復帰したという。

 本人は「天然とよく言われるけど、自分ではわからない」と“超人”らしからぬつぶらな瞳を白黒させる。阪神・糸井と大学時代に同リーグで戦った大角監督は「親戚の方と一緒で独特の世界観ですね」。つまり、勢いに乗ると止まらない。「終わったら『優勝したよ』と伝えられるように一戦一戦頑張りたい」。甲子園の夢をかなえられなかった「ヨシ兄ちゃん」へ、「タツ」からの約束だ。

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