大阪桐蔭・藤原が決めた 両親との約束通り「フルスイング」で人生初のサヨナラ打
「選抜高校野球・準決勝、大阪桐蔭3-2三重」(3日、甲子園球場)
準決勝2試合が行われ、史上3校目のセンバツ連覇を目指す大阪桐蔭は、延長十二回に今秋ドラフト1位候補の4番・藤原恭大外野手(3年)がサヨナラ二塁打を放ち、2年連続の決勝進出を決めた。智弁和歌山も延長で東海大相模を下して、00年以来18年ぶりの決勝進出。決勝は2年連続で近畿勢同士の対決となった。
遠のいていく白球に、思いを乗せた。「ランナー、かえってくれ!」。祈りは届く。熱戦に終止符を打ち、決勝への切符をもぎ取った。視線の先には総立ちのスタンドを背景に、歓喜する仲間たちが待っている。藤原が笑顔で身をゆだねた。
苦しい展開だった。三回に2点を先制され、今大会で初めてリードを許した。打線は三重の先発・定本拓真投手(3年)に苦しんだ。九回まで1点ビハインド。それでも敗戦まで、あとアウト3つから振り出しに戻した。
延長でも一進一退。タイブレークまであと1死となった延長十二回2死一塁で打席に立った。5打席目までノーヒット。「直球一本。来た球は全部振ろうと思った」と藤原。迷いはなくなっていた。
低めの直球を捉え、左中間へ人生初のサヨナラ打。「無我夢中で打った。何も考えず、フルスイングした。ずっと打てず、ああいう場面で打てて良かった」。興奮する様子もなく、ほっと息をついた。
昨秋に右膝を痛めた。痛みが長引き、開幕直前まで別メニュー調整。「間に合うかなあ…」。チームメートにこぼしたこともあった。通院の送り迎えをしてくれた母・道子さんの言葉に救われた。
「無理しないで。やるところとやらないところは差をつけてね」
温かい言葉は自覚を生み、行動が変わった。以前は寮では漫画を読むことが気晴らしだった。だが、バットを持ち、寮に併設されている室内練習場へ向かう時間が増えた。今ではチームトップの練習量を誇る。結果が出るのは必然だったのかもしれない。
大会前、西谷浩一監督(48)の方針でメンバーは両親へ宛てた手紙を書いた。藤原は感謝の思いをつづっている。
「いつもありがとうございます。打てても打てなくても、フルスイングしてきます」
思いを体現できるのも、あと1試合。「部員41人や後押ししてくれる人の分も頑張って、日本一を取りたい」。視界に捉えた頂点は、絶対に逃さない。
