呉を夏も聖地へ…主将・新田が導く センバツ敗戦糧に1キロバットで猛特訓

 泥だらけになりながらノックを受ける呉・新田主将=呉市虹村公園グラウンド(撮影・吉澤敬太)
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 第99回全国高校野球選手権広島大会(7月9日開幕)が迫っている。春の甲子園大会に初出場を果たした呉は、主将・新田旬希内野手(3年)がチームを引っ張る。センバツでは履正社に0-1で敗れて2回戦敗退。夏に向けて打撃アップのため、1キロのバットを振り込むなど筋力強化に取り組んできた。初の夏切符もつかみ、2季連続となる甲子園出場を目指す。

 センバツでの敗戦で課題が見えた。2回戦の履正社戦。呉は好投手・竹田を前に2安打に抑えられ、1点も奪えなかった。

 「投手が抑えてくれているのに打力が足りなくて援護できなかった。そこを改善しないと夏の甲子園には出られない。課題を克服しないと勝っていけないので」(新田主将)

 センバツ後、チームが新たに取り入れたのは長さ95センチ、重量1キロのトレーニングバットだ。素振りだけでなく、ティー打撃やフリー打撃でも使用する。「スイングスピードや手首の力が強くなりました」と新田も手応えを感じている。速い球や変化球にも対応できるようになった。

 さらに新田は練習後も下宿で納得がいくまで素振りを行い、長い日には1時間以上もバットを振り込む。変化は顕著に表れた。5月7日の安西(広島)との練習試合では右翼に推定飛距離120メートルとなる特大弾を放った。「これまではネットを越えなかったのですが、力もついて以前よりも飛ぶようになった」と胸を張った。

 主に「3番・遊撃」で試合に出場。中村監督は「元々、守備は安定している。攻撃の面でも新田がキーマンになる。力がついてきたし、安定感も出てきた」と期待を寄せる。

 走攻守でバランスの取れた内野手。プロのスカウトも視察に訪れる。「注目していただいているのはすごくうれしい。でも、今のままでは全然ダメなので、もっと体を大きくして力をつけていきたい」。冷静に自己分析し、課題を口にする。

 県予選の開幕が約1カ月後に迫った。週末は練習試合で実戦経験を積み、平日はノックと打撃練習を重点的に行い、基礎練習に時間を割いている。

 「これまで苦しいことが何度もあった。最後の夏なのでもう一回みんなで甲子園でプレーしたい」。主将を中心にさらなるレベルアップを果たした呉ナインが春に続き、創部以来初の夏の甲子園を目指す。

 チームとしての打力アップに努める一方で、中村信彦監督が目指す「守り勝つ野球」の準備も整いつつある。これまでは、エース左腕・池田吏輝投手(3年)が1人で投げ続けていたが、春の県大会を経て2、3番手の投手が成長。頭角を現したのは、最速140キロ超の本格派右腕・高松晃佑投手(3年)とアンダースローの永田陸哉投手(3年)だ。

 春季広島大会では池田を1イニングしか投げさせず、2人の投手で4回戦進出。夏の県大会のシード権を手にした。「両投手とも安定感が出てきた。計算できるようになってきたのは大きい」と指揮官も目を細める。

 「夏は最後まで1人で投げるのは厳しい。守りの軸となるのは投手。疲労をあまりためないように勝ち進んでいくのがカギとなる」。タイプの異なる3投手が支え合い、チームを初の頂点に導く。

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