阪神・岡田監督 11年ぶりでも健在の勝負勘「カウント途中の代打」「代打の代打」

 就任1年目で見事に阪神を18年ぶりのリーグ制覇に導いた岡田彰布監督(65)。先の先まで読み切ったような采配は何度も見る者をうならせた。その“神采配”を振り返る連載がスタート。初回は「カウント途中の代打」「代打の代打」がハマった一戦をピックアップする。

  ◇  ◇

 11年ぶりの現場復帰でも岡田監督の勝負勘は健在だった。早速度肝を抜いたのは開幕3戦目の4月2日・DeNA戦(京セラ)だ。4-2と2点差に詰め寄られた八回2死一塁から中野が二盗を決めると、カウント0-1の島田に代打・原口。スタンドが騒然とする中、原口がエスコバーの初球を捉えた打球は左越え2ランとなり、鮮烈な開幕3連勝を飾った。

 「ランナー気にせんとこのバッターやったら抑えられる。ピッチャー心理なら思うんちゃう?あそこで先に原口いってもうたら、だいぶ違ってくるわな」

 試合後、岡田監督はそう説明した。右の原口よりも左の島田が打席に立っている方が捕手は二塁に送球しづらい。緻密な作戦には経験に裏付けされた戦略が隠されている。「俺からしたら普通のことやろ。こんなの。点取りにいくんやからさ」。采配のブランクは一切感じさせなかった。

 「まだシーズン序盤だったので、監督がどういう動きをするか、選手もまだ読めない中でした」。原口は当日の心境をそう語る。驚きの起用ではあったが、前日にエスコバーと対戦。三邪飛に打ち取られ、軌道はインプットしていた。「準備はできていたので戸惑いはなかった。もう出たところで行くだけでした」。さすがの勝負強さを発揮し、一振りで記憶に残るドラマに仕立て上げた。

 8月10日・巨人戦(東京ド)は「代打の代打」で貴重な追加点を奪った。3-2の九回1死一塁から代打・糸原を送り、相手が右の鈴木康から左の高梨にスイッチすると、代打の代打に原口をコール。試合を決定づける2ランが飛び出し、「1、2番が左なんで、(左投手が)来るかなあと思って用意はしていた」と指揮官はしてやったりだ。岡田野球がチームに浸透した今、原口は言う。

 「(他の選手が)代打にいってからも準備を終わらすのではなく、長めの準備を頭に入れながらやっている。気持ちをオフにしないように気をつけている」

 代打や代走は采配の醍醐味(だいごみ)。ビハインドから積極果敢に代打のカードを切ることもあれば、リスクを恐れず代走攻勢に出たこともあった。将がベンチを出ると試合が動く。11月で66歳となる知将が野球の奥深さを教えてくれた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス