阪神・ケラー 困難乗り越え来日初S 守護神剥奪も2軍で腐らず前向きに取り組んだ来日1年目

 143試合のペナントレースにおいて、デイリースポーツ記者の心に残った試合、場面を振り返るオフ企画『一投一打』。阪神担当の杉原史恭記者は、カイル・ケラー投手(29)の来日初セーブを挙げた。開幕戦から2試合連続で救援に失敗し、守護神の座を剥奪された右腕の苦悩と、それでも前向きに野球と向き合った来日1年目をつづった。

  ◇  ◇

 待ちに待った瞬間だったに違いない。8月7日・広島戦。2点リードの九回、連投中の岩崎に代わり、ケラーが代役守護神としてマツダスタジアムのマウンドに上がった。緊迫の展開に助っ人は気合十分。秋山、マクブルーム、坂倉のクリーンアップを三者凡退に斬り、来日初セーブを飾った。「3月は自分のせいで負けてしまったので、やり返すという意味では良かった」。開幕戦の大炎上から約4カ月、うれしそうに笑う顔は初めて見た気がした。

 異国での苦悩は、こちらの想像以上だったかもしれない。開幕戦から2試合連続でセーブ失敗。守護神の座を剥奪され、3月31日には2軍降格となっていた。

 「何でしょうね…。自分の中ではしっかり準備をして挑んだはずだし、(今は)球速も上がってはいるので、もしかしたらコンディションで準備できていない部分があったのかもしれない。でもそこは言い訳にしたくない」

 7月中旬、開幕時のコンディションについて聞くと、ケラーは静かに話し始めた。コロナ禍で来日が遅れ、見切り発車的に守護神を任された経緯もあるが、恨み節は一切なし。それよりも、2軍で若い選手に交じり、新球フォークを覚えるなど、前向きに取り組んできたことに胸を張った。

 「しっかり強化したし、新しい球種にもトライした。いい時間を過ごせたのは大きい。とにかく今を一生懸命生きて、過去のミスはある意味考えないようにしているんだ」

 来日1年目は34試合で3勝2敗3セーブ、防御率3・31まで盛り返し、オフには20万ドル増の年俸130万ドル(約1億8200万円)で契約延長を勝ち取った。岡田新監督はセットアッパー起用を示唆。来季も心を揺さぶる投球を見せてくれるはずだ。

2023-11-05
2023-11-04
2023-11-02
2023-11-01
2023-10-31
2023-10-29
2023-10-28
2023-10-20
2023-10-19
2023-10-18

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス