【密着仕事人】緒方凌介氏 虎戦士から球団広報 満足のいく野球人生のために

 裏方の仕事にスポットを当てる企画「密着仕事人」。第5回は「球団広報」です。昨季限りで現役を引退し、球団広報として第2の野球人生をスタートさせた元阪神外野手・緒方凌介氏(29)に密着取材しました。

  ◇  ◇

 タテジマのユニホームを脱いでも、目の前のことに全力を注ぐ姿は変わらない。18年に現役を引退し、同年12月1日から球団職員として広報部に配属となった緒方氏。人気球団だけに、大勢の報道陣を含め、さまざまな人と選手、球団との橋渡し役として日々奮闘している。

 「一日一日が本当に勉強です。先輩の広報の方にいろいろと教えていただきながら。選手のときは知らないこともたくさんありましたし、覚えていくこともまだまだたくさんあります」

 昨年までは取材現場で質問に答えていた側。だが、今はその現場を管理する立場だ。出場機会に恵まれず、長い2軍暮らしがあった一方で、1軍で華やかな舞台も経験した。選手の置かれている立場も分かるからこそ、選手の立場を理解しながら、メディアへの露出をどうするのか日々、考えている。

 選手ファーストとしながらも、広報としてチームを知ってもらうという役割も求められる。「選手が準備するのに邪魔にならないようにスケジュールを組んであげるというのが、広報の仕事だと思います。グラウンドでベストパフォーマンスを発揮してもらいたいですし。球団としてメディアに発信してもらいたいので」。在籍選手に満足のいく野球人生を送ってもらうために、先輩広報とも相談しながら取材日程を立てている。

 大きな財産となった6年間の現役生活。ボロボロになって、燃え尽きた。ドラフト直前の12年夏に右膝前十字靱帯(じんたい)を損傷して手術し、14年には「右膝半月板のクリーニング術」。昨年10月15日のみやざきフェニックス・リーグでは、二盗を試みた際に右膝を負傷し、自力で歩けず、担架で運ばれた。診断結果は「右膝関節の捻挫」。戦力外通告を覚悟した。

 現役生活に悔いはない、と言えばウソになる。それよりも、強いのが球団への感謝の気持ち。「選手として納得いくことは全然できなかった。そんな自分に対して声をかけてくれたことは本当にうれしかった。だからこそ、これからは球団のために本気で恩返しをしようと強く思っている」。現役生活にピリオドを打ち、一度も迷わずに球団職員への転身を決めた。

 一日のスケジュールは次の通りだ。球場へ到着すると、まず新聞各紙の阪神記事を確認する。次に取材スケジュールをチェックし、取材相手との打ち合わせが入ることもある。試合が始まれば、活躍した選手の試合中コメントを報道陣にメール配信する。試合後には囲み取材などに立ち会い、その後は翌日の予定を確かめて業務終了となる。

 まだまだ、慣れないパソコンと向き合う日々だ。自らに託された役目は十分、分かっている。「選手のとき以上に勝つことができればうれしい。もっともっとチームに貢献できるようにしていきたい」。何度も苦悩を乗り越えてきた緒方広報が、チームのサポートに全力を尽くす。

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