中谷、4連勝弾 前日スタメン落ちの悔しさ吹き飛ばした

 「阪神5-3中日」(1日、甲子園球場)

 9月も進撃は止まらない。阪神は2-3の八回1死一塁、中谷将大外野手(24)が左越えに17号逆転2ランを放った。鳥谷敬内野手(36)も2者連続弾で通算2000安打まであと7本とすると甲子園はお祭り騒ぎ。チームは4連勝で、広島とは5・5ゲーム差のまま。まだまだ勝負はここからや!

 奇跡への願いは、届いた。舞い上がった白球を見つめ、中谷は駆け足で一塁ベースへと走り出す。「切れないでくれー」。ポールの内側を通過し左翼スタンド中段へ吸い込まれると、甲子園がドッと沸いた。荒々しく叫び、右腕を天に突き上げる。起死回生の逆転2ラン。9月最初の聖地はお祭り騒ぎだ。

 「つなごうと思って打席に入りました」

 2-3の八回1死一塁。バットを指1本短く持ち、又吉の高めに浮いた変化球に食らいついた。8月24日・ヤクルト戦(神宮)以来、出場6試合ぶりの17号が4連勝を決定付けた。鳥谷のダメ押し弾で聖地のボルテージは最高潮。4万超の大観衆が歌う六甲おろしが、24歳の心に響いた。

 「バットも持ちたくなかったですし、野球をしたくないなとも思ったんですけど。今日この1本を打てたことによって、全てが報われたかなと思います」

 最近5試合は19打数1安打、打率・053。内角を過度に意識することで打撃を崩し、前日のヤクルト戦は9試合ぶりにスタメンを外れた。悔しさは募り、また焦る気持ちが負のイメージを増幅させていく。それでも「結果が出なくても、使ってもらっているので」。首脳陣の期待に応えたかった。ファンの声援に心が奮い立った。

 千金弾を振り返った金本監督は「ちょっとちらつきました」と、代打を送る考えもあったと明かした。「まぐれであろうが何だろうが、ああやってあそこまで運べるというのが素晴らしいこと」。中谷の成長がタイガースに力を与える。新時代の大砲候補が、未来をも明るく照らす。

 06年、浜中治(現2軍打撃コーチ)が記録したシーズン20本塁打。あれから11年、生え抜きの右打者で大台に乗せた男はいない。くしくも、同コーチは2軍時代に教えを請うた中谷の“師匠”だ。鳴尾浜から、メッセージが届いている。

 「スイングの軌道は、最初に見た時よりだいぶ変わったと思う。前は右にコツコツ打つ打撃をしていたけど、中谷の魅力は一発だから。抜いてほしいよ。いや、抜かないとね」

 首位の広島が勝ち、ゲーム差は5・5のまま。だが、4連勝の勢いはとどまることを知らない。中軸には成長著しい背番号60。夢を乗せ、放物線を描く。逆転Vへ戦いは続く。

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