マートンV撃「マリオ」に捧げる一打

 「中日1-2阪神」(15日、ナゴド)

 自身と同じ境遇で戦うサンティアゴを、見殺しにはできなかった。異国で奮闘する仲間の姿は、数年前の自分自身とも重なった。「いい試合でした。マリオ(サンティアゴ)に勝ちがついてよかった」。阪神・マートンが新しい仲間にささげる決勝適時打だ。

 八回だった。西岡の適時二塁打で同点とした後、なおも無死二、三塁。鳥谷とゴメスが連続三振に倒れた。同点のまま終われば、流れを失いかねない展開で打席に立った。

 カウント1ボール2ストライクからの5球目。2球目から4球連続でスライダーを投じてきた又吉の決め球が、真ん中高めに浮いた。逆らわずに打ち返したゴロが一、二塁間を破る。勝ち越しの右前適時打。歓喜する三塁ベンチに視線を送ると、5度も激しく手をたたいた。

 前打席の反省を生かした打撃だった。六回2死一、二塁は投手の足元へ鋭いゴロを放ったが、二塁付近で守っていた亀沢にさばかれていた。和田監督は「包囲網というか、相手も研究してくる中で、最後は冷静に反対方向に打ってくれた。(八回は)マートンらしい打撃だった」。状況を把握する冷静さに復調気配を感じ取った。

 10日・広島戦で先発落ちし、13日・ヤクルト戦から先発に復帰してから3試合連続安打。昨季の首位打者が本来の打撃を取り戻しつつある。

 打撃には一つの信念がある。「バックスクリーンから(ミートポイントまで)一直線を引く。投手はその線上に投げて来るわけだから、そこへきれいにバットを出すだけ」。打席では邪念や感情を排除し、シンプルなスイングを貫く。決勝の右前適時打もポリシー通りの打撃だった。安打製造機のエンジンがいよいよ温まり始めた。

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