マートンでG倒0差!いざ神撃の夏や

 「阪神2-1巨人」(21日、甲子園)

 後半戦初勝利や!阪神のマット・マートン外野手(33)が六回、左越えに2点適時二塁打を放った。チーム27イニングぶりの得点が決勝点に。宿敵・巨人を振り切って連敗を2で止め、2位タイに浮上した。全チームが借金を抱える大混戦セ・リーグ。抜け出すのは猛虎だ。

 重い扉をこじ開けた先に待っていたのは、仲間とファンの笑顔だった。連続無得点に26イニングで終止符を打ち、2連敗を止める決勝打。マートンは凱歌(がいか)をあげるスタンドに力強く叫んだ。

 「メッチャ、イイデスネ。メッチャイイ。アリガトウ!!」

 今季初対戦の杉内に対して五回まで4安打。14日の広島戦から続くゼロ行進が止まらない。嫌なムードが漂い始めた六回だった。2死二塁でゴメスが敬遠気味に歩かされた後、打席に立った。

 「気にしなかった。勝つチャンスを与えられる場面で打席に立つのは興奮するからね」

 2球で追い込まれた後の6球目。狙い球は2打席目で打ち取られたチェンジアップと、外角から入ってくるスライダーだった。だが、内角高めの直球を反応で打ち返した。

 飛球はジャンピングキャッチを試みた左翼・亀井のグラブには収まらず、フェンスを直撃した。27イニングぶりの得点となる先制2点二塁打。和田監督が「何とか取りたい試合で、きのうも点を取れていなかったからね」と勝負強さを称賛する打撃だった。

 今季は交流戦終了まで不振が続いたが、体づくりだけは怠っていなかった。甲子園のナイターでは、午前中は家族サービスに時間を費やす。試合後も早く帰宅するために、ユニホーム姿でウエートルームに駆け込み、ケガの予防で古傷のある下半身に刺激を与える。

 その分、ビジターのナイターでは午前中に、若手と一緒にみっちりとウエートトレーニングに励む。結果が出なくても自分と向き合い続けた。

 調子を上げて前半戦を終えると、球宴期間中は気持ちをリフレッシュした。6日に生まれたゴメスの次女・アイミーちゃんに会うためにゴメス宅を訪問。「かわいかったよ!!」。誕生前から購入していたおもちゃと服を渡し、赤ちゃんの笑顔に癒やされた。

 後半戦初勝利で首位・巨人とはゲーム差なしの2位タイ。22日の巨人戦に勝てば6日以来の首位に立つ。「アシタ、ガンバリマショウ!!」。鳴りやまない歓声の中、ヒーローは堂々と奪首を誓った。

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