心配ご無用！阪神のマウロ・ゴメス内野手（３０）が２５日、今季開幕戦の舞台、京セラドームで行われた全体練習のシート打撃で、一発を含む２安打を放った。オープン戦は打率・１２０、１３打席連続無安打で終えた主砲だったが、本番２日前にようやく復調の兆し。本人の手応えも十分で、上昇気流に乗って２７日の中日戦を迎える。

　観客のいない京セラドームに激しい衝突音が響き渡った。手に残ったのは、確かな手応え。「開幕へ向けて準備はできたかなと思う」。開幕２日前。ゴメスがようやく上昇気流に乗った。

　石崎と対戦した２打席目だった。外角直球を２球、見送ってカウント２ボール。続く内角直球に鋭く反応し、腕をたたんでバットを振り抜いた。

　「自分としてはいい形で捉えられたと思う」。緩やかな弧を描いた飛球は、ラインドライブすることなく左翼スタンドへ一直線。俊介が早々と追走を諦めると、左翼ポール際で打球が跳ねた。実戦形式を含め、１８日の練習試合・ヤクルト戦以来２本目の本塁打となった。

　１打席目には桑原の初球、高めの直球に力負けせずに左前打。シート打撃の２打席とも一振りで仕留めた。オープン戦は１３打席連続無安打で終えたように、実戦終盤は打ち損じも多かった。だが、確実に状態は上向いているようだ。

　「実際の投手と対戦して、球はよく見えていたし、きょうは開幕へ向けていい練習ができた。自分としてはオープン戦の終盤も悪くなかった。なかなかストライクゾーンに球が来なくて、結果が出なかったけど、オープン戦も今も感覚は悪くない」。状態を不安視する周囲の声を封印するかのように、手応えを口にした。

　和田監督も表情を緩めた。「納得いくスイングができたんじゃないか。そういうスイングができれば結果も伴う。感触としていい２打席だったんじゃないかな」。チーム浮沈のカギを握る不動の４番が見せた復調気配に、胸をなで下ろした。

　来日２年目の開幕はもう目前だ。昨季の開幕前と、気持ちの違いを問われた主砲は言った。

　「去年はもう過去のこと。今年はいい形で開幕を迎えられるように、と思う」

　落ち着いた表情。淡々とした口調。堂々とした受け答えに余裕が漂っていた。