広島・栗林の先発転向は吉と出るのか 「少しの遊び心をもって投球を楽しめばいいのでは」と野田浩司氏

 広島の栗林良吏投手(29)が来シーズンから先発に転向する。リリーフ投手として134セーブ、56ホールドを記録しながらプロ6年目での“大コンバート”は果たして吉と出るのか。デイリースポーツウェブ評論家の野田浩司氏は「最近は汲々とした投球」が目についていたと語り、「いいタイミングかもしれない」と今回の配置転換に理解を示した。

  ◇  ◇

 栗林は入団1年目からの大活躍で実績は十分だし、技術的には完成されているから、先発への転向には何の不安もないのではないか。

 そもそも社会人時代(トヨタ自動車)は先発投手で、僕も都市対抗での投球を見たことがあったが、あのフォークはアマチュアでは打てないと思ったものだ。

 入団後は広島のチーム事情で抑えという立場を与えられたが、その時は“ああ抑えでやるんだ”と驚いたほど。僕の記憶の中では先発のイメージの方が強い。

 抑え投手というのは僕にも経験があるけど、嫌な役目なのは確か。一発で同点とかね。怖いですよ。打たれたどうしようとか考えてしまう。実際に打たれると、好投していた先発投手の勝ち星がフイになるし、チームにも大きな迷惑をかける。

 こんな辛い仕事を5年もやっていたのだから、かなり精神もすり減らしていたのではないか。

 抑えが向いているタイプもいるから一概には言えないが、自分自身のことを思えば、先発でやっていた方が楽しかったですね。

 直球とフォークの2種類を目一杯の力で投げるしかなかった抑え投手よりも、持ち球すべての球種を使い分けて、自分のペース配分で押したり引いたり、打者との駆け引きを交ぜながら配球を考える先発投手の方が、断然面白かった。

 栗林は直球とフォークだけでなくカーブやスライダー系の球もあるし、すぐにでも順応するはずだ。抜いたカーブなんかをうまく挟むとか、工夫次第で投球の幅も広がっていくと思う。数字は別にして昔の感覚を思い出し、慣れてゆとりが出てくれば、かなり勝てるんじゃないか。

 ただ、プロとして長いイニングを投げるのは初めてだから、やっぱりキャンプでの肩肘を含めた体力づくりが大切になってくる。ブルペンの入り方や球数の調整。

 これまでは救援という仕事上、投げ込みというものはやってこなかっただろうからね。根本的に練習スタイルが違う。こういうことはキャンプでしかできないから。

 抑えをしたり、中継ぎに回ったり…もともとボール球の多いタイプでもあり、最近の栗林はどこか汲々とした印象があった。しかし、先発へ転向してまたイメージが変わるかもしれない。そういう意味では、いいタイミングとも言える。

 とにかく実力は申し分のない投手だからね。僕が言うのもなんだけど、少しの遊び心をもって、投球を楽しめばいいんじゃないかな。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

広島カープ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス