広島・栗林 先発転向への思い「不安の方が多い」 32年ぶり2桁勝利投手が不在の窮状に「期待に応えたい」
来季から先発に転向する広島・栗林良吏投手(29)が18日、廿日市市の大野練習場で取材に応じ、チームの期待に応えることを誓った。今シーズン終了前に新井監督から打診されて、快諾。不安を吐露しつつ、今オフの取り組みで自信に変えると決意した。チームは今季、32年ぶりに2桁勝利達成者なしと先発陣が苦戦。リリーフ一筋の右腕が新境地を切り開き、5位からの巻き返しに尽力していく。
使命感を強め、背筋を伸ばした。先発転向で迎える来季。廿日市市の大野練習場で取材対応した栗林は「気持ちとしては不安の方が多い」と率直な心境を吐露しつつ「練習して、その不安を自信に変えられるようにやらなきゃなと思っている」と意欲をみなぎらせた。
今季終了前、新井監督から配置転換を打診されて覚悟は決まった。「『監督がそうやって考えてくださっているなら、そこで頑張りたいと思っています』と。自分としては期待に応えたいという気持ちが、今は一番なので」と経緯を明かした。
チームは今年、32年ぶりに2桁勝利に到達した投手が不在だった。大瀬良、森下、床田の3本柱を軸に7勝の森、6勝の玉村らが続く構図。岡本、辻が2軍で先発挑戦している現状に栗林が加われば、今季の窮状打開も見えてくる。
社会人時代はトヨタ自動車のエースを務めた。「とにかく最少失点で次の投手につなぐという、社会人時の気持ちは忘れずに。1イニング、1イニングを大事にいって結果的にイニングを積み重ねていけたら」と一発勝負の戦いに身を置いた経験を生かす考え。同時に技術面では制球力の向上を掲げる。
「リリーフの時は球の強さなど、自分の長所を伸ばしていくことが大事だった。先発は長所を伸ばすだけではダメだと感じている」と、勝負に臨む前段階での違いに触れた。先発は1試合の中で、各打者と数回対戦することになる。「得意球ばかりで勝負しても意味がないし、そういう駆け引きが増えてくると思う。駆け引きを自分のモノにするためにはコントロール。制球を良くしていきたい」と誓った。
右肘手術明けの今季は55試合に登板。夏場以降は主戦場を六、七、八回に移したが10セーブ、23ホールドと奮闘した。ただ、ブルペンで準備する回数は増加。先発転向の背景には、心身両面での負担軽減と投球の幅を広げてほしいという新井監督の思いもある。
プロ入り後はリリーフ一筋だった男が目指す、新たな挑戦の幕開け。「不安を取り除けるように、例年以上にオフへ向けて気合が入っている。自信を持って来春キャンプに入れるように。キャンプを通して目標を立てられるようにしたい」と栗林。戦闘態勢を整え、新たな領域で輝く。





