若鯉猛アピール!佐藤啓プロ初打点&内田プロ初マルチ 11失点大敗も輝ラリ 佐々木も負けじ14戦連続H
「ヤクルト11-1広島」(26日、神宮球場)
屈辱的な敗戦にも光はあった。広島は11失点の大敗を喫したが、若鯉は奮闘した。23日から1軍に昇格したばかりの内田湘大内野手(21)がプロ初長打を含むマルチ安打を記録し、佐藤啓介内野手(24)はプロ初打点。佐々木泰内野手(22)も連続試合安打を14に伸ばし、新井貴浩監督(48)は若手のギラついたプレーに目を細めた。
大量ビハインドでも試合終了まで左翼席の一角が赤く染まり続けていたのは、近未来への希望を見たからだろう。Bクラスが決まっていても詰めかけた鯉党の目に映ったのは、若手の必死なプレー。点差は関係ない。目の前のチャンスに食らい付き結果を残した若鯉たちを、新井監督は「良いものを見せてくれた」と褒めたたえた。
Bクラス確定後の23日から1軍に上がってきた選手が輝きを放った。2戦連続スタメンとなった佐藤啓は、0-7の四回2死一、三塁から痛烈なゴロで一塁を襲う適時内野安打。今季初安打、プロ初打点となった大卒2年目は「もう思い切りいくだけだと思った。チャンスをもらえている立場。本当に必死にやるだけ」と鼻息を荒くした。
五回に代打で登場した高卒3年目の内田も1死から右翼線への二塁打でプロ初長打とすると、八回にはライナーでの左前打。「とにかく結果を意識して(打席に)立った」とマルチ安打を記録し、「2本目も続いたので少し自信になった。仕切り直してやっていく」と力を込めた。
2人は2軍で飛び抜けた成績を出していたわけではなかった。ウエスタンで佐藤啓は打率・247、内田は打率・201だった。チームが若手主体の起用に打って出たため、巡ってきた千載一遇のアピール舞台。新井監督は24日の練習で直接指導を行っていた内田に目を向け、「湘大も1打席目は変化球を逆方向、2打席目も150キロを超える球を引っ張ってヒットにした。いい当たりで、本当にいいものを見せてくれた」とうなずいた。
これまで試合に出ていた若手も存在感を発揮。佐々木は新人では異例の14試合連続安打をマークし、ブレーク中の中村奨も初回先頭で右前打を放った。この日、出場した野手11人は全員が20代で平均年齢は24・9歳。投手では大卒2年目の滝田が2回無安打無失点、高卒新人の菊地は1回無安打無失点の好投を披露し、投打で活きの良さを見せた若手がいた。
失点した投手、併殺や失策のあった野手もいたが、指揮官は日頃から「何をしようが彼らは全てが経験」と語り、背中を押し続けている。新井監督の来季続投が公になり、試合後にスタンドの一部ファンからグラウンドに届いたのは「来年も頑張れ!」の声だった。この状況でも応援してくれるファンのため、もっと遮二無二戦う。
◇佐藤 啓介(さとう・けいすけ)2001年5月24日生まれ、24歳。愛知県出身。182センチ、90キロ。右投げ左打ち。内野手。中京大中京、静岡大を経て23年度育成ドラフト2位で広島入団。24年6月に支配下登録。プロ初出場は24年6月9日・ロッテ戦。カープ初の国立大出身選手。
◇内田 湘大(うちだ・しょうだい)2004年9月22日生まれ、21歳。長野県出身。183センチ、97キロ。右投げ右打ち。内野手。利根商から22年度ドラフト2位で広島入団。プロ初出場初スタメンは24年10月5日・ヤクルト戦で「7番・三塁」。同戦の第1打席で左前打を放ちプロ初安打。





