広島・二俣 バウアー撃ち一時勝ち越し3号2ラン 新井監督の助言「意識しました」 チームは今季8度目サヨナラ負け
「DeNA5-4広島」(5日、横浜スタジアム)
広島は今季8度目のサヨナラ負けを喫し、9連戦初戦は黒星発進となった。敗戦の中で奮闘したのは二俣翔一内野手(22)だ。同点の五回無死一塁でバウアーから右中間へ一時勝ち越しとなる3号2ラン。7月20日・ヤクルト戦以来の一発は、プロ入り初の逆方向への本塁打にもなった。勝利につながる一打を求め、若武者がチームのために全力を注いでいく。
白球は失速することなく、右中間スタンド最前列へ吸い込まれた。どよめきに包まれた敵地の空気を背に、二俣はダイヤモンドを一周。マウンド上のバウアーが膝に手をついて悔しがる中、左翼スタンドの鯉党を盛り上げた。「(当たった箇所は)本当に芯。いい感じで打球も上がっていたので『入ってくれ』と思いながら走っていた」と手に残る感触を伝えた。
ハイライトは1点を追う五回だ。モンテロのソロで試合を振り出しに戻し、続く羽月がセーフティーバントによる内野安打で出塁。無死一塁で打席が巡った。カットボールが3球続き、カウント2-1からの148キロ直球を振り抜いた。滞空時間の長い飛球はフェンスを越え、一時勝ち越しの3号2ラン。試合の主導権を奪い返した。
一塁に俊足の羽月がいたことも好転した。「試合前、羽月さんが走者の時は直球が多くなって(相手)バッテリーも走られないように警戒するので、その中で『真っすぐをしっかり打ちにいけよ』と言われていた。真っすぐが来たら一発で仕留めようと思っていた」。イメージ通りの打撃で最高の仕事を果たした。
自身にとって7月20日以来の一発は通算4本目で、プロ入り初めてとなる逆方向へのアーチ。過去3本は全てソロで、走者を置いた場面での本塁打も初の経験になった。
1軍再昇格を果たしたのは7月15日。2軍では打撃フォームの試行錯誤を重ねた。春先から継続していたDeNA・宮崎を参考にした打ち方を、7月に入ると右肩にバットを担ぐ構えに修正。しかし、「オープン戦のいい感じのスイングができていたことがあった」という理由で、下旬から再び“宮崎打法”に戻した。
その上で、この日は試合前に新井監督から助言を受けた。バットのヘッドを体の後ろに倒した状態で始動するよりも、投手側に傾けた状態からスイングする方がボールに力が伝わるという内容。「それを言われて意識しました」とすぐさま好結果につなげ、指揮官も「いいホームランだったね」と称賛した。
上位進出を目指す8月戦線は攻撃陣の奮起が欠かせない。「大事なところで一本打って、何とかチームが勝てるように」と二俣。成長曲線を描く若鯉が、ひたむきに勝利だけを追い求めていく。





