【野球】広島 新井監督はなぜ坂倉の懲罰交代を決断し翌日起用しなかったのか 見せていなかった一面
広島・新井貴浩監督(48)の厳しさを見た。乱打戦の末、1点差で敗れた20日のヤクルト戦後、指揮官は怒りをにじませながらクラブハウスへ引き揚げた。矛先は勝敗や結果に対してではなく、正捕手・坂倉の立ち居振る舞いに対してだった。就任3年目を迎え、昨年までは見せていなかった指揮官の一面が見えてきた。
最後まで、その名前がコールされることはなかった。21日のヤクルト戦で坂倉がスタメンから外れた。実力と実績を兼ね備えており、ベンチスタートだったにしても、勝負どころの代打としては絶好のカードだったはずだ。しかし、終盤の好機でも呼ばれることはなかった。そこに新井監督の強い意志を感じた。
後半戦に向けて、指揮官は「若い選手の成長に期待したいなと思うし、ずーっとチャンスがあると思ってくれても、それも困る」と奮起を促した。そこに付け加える形で「打った打たないではなしに、やらないといけないことをやらなかった場合というのは、どんどん外していく」と毅然(きぜん)とした表情で語った。
この発言の根底にあるのは20日・ヤクルト戦の出来事だろう。逆転された直後の三回2死で坂倉は捕手頭上のファウルゾーンにフライを打ち上げた。打球を見た坂倉は三塁ベンチへと歩を進めていた。
結果は捕邪飛だったが、風向き次第ではフェアゾーンにボールが流れていくような飛球だった。決めつけで一塁へ走らなかった行為を指揮官は問題視。直後に捕手を石原に代えて坂倉をベンチに下げ、試合終了直後には「走塁に関して注意しているのは1回や2回ではないから。走る姿は取り組む姿勢が一番出るところ。だから代えた」と説明した。
今季は監督就任3年目。昨年までと同様、選手の結果に対しては、どんなに悪くてもグッとこらえる姿に変わりはない。その一方で、選手の『戦う姿勢』を問うことは増えた。実際に5月には「弱い姿が見受けられた」として、小園をスタメンから外したこともあった。
これは『厳しさ』なのか-。指揮官は「当たり前のことをやらなかったらチームの士気も下がるし、外すよと。でも1回目(の失敗)は外さない。2回目もまだ『次、期待しているよ』と。3回やったらそれは許さない。これは厳しさでもなんでもない。当然のことだと思う」と自らの考えを明かした。
「さまざまなことが変化する年になる」と宣言して迎えた今季、ここまでは38勝45敗5分けの5位にとどまっている。若い選手が多く起用されるチームはまだ発展途上。強い選手を生み出すためには、わずかな隙も許さない。新井監督から強い決意が感じられる。





