【新井氏独占手記】現役最後は日本シリーズの真剣勝負…そんな選手なかなかいない

 昨季限りで現役引退した元広島の新井貴浩氏(42)=デイリースポーツ評論家=が16日、オリックスとのオープン戦(マツダ)で引退セレモニーに臨んだ。試合前には始球式を行い、サプライズ贈呈では山本浩二氏、黒田博樹氏が登場。試合後の引退スピーチでは、涙を潤ませながらファンへ感謝を伝えた。また、デイリースポーツに独占手記を寄せ、4連覇へ太鼓判を押した。以下は新井氏の手記。

  ◇  ◇

 シーズン開幕前の大事なこの時期に引退セレモニーを開いていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。昨年はリーグ3連覇を達成して、最後は日本シリーズの真剣勝負の中でユニホームを脱がせてもらった。そんな選手はなかなかいない。後輩たちのおかげです。心から「ありがとう」と伝えたい。

 カープファンの方にも感謝しています。プロ野球生活20年の間、たくさんいろんなことがあった。だけど、今日もこうして、たくさんの方に球場に来ていただき、声援をいただいた。

 一番印象に残っているのは、カープに復帰した2015年の開幕戦。代打で初出場した時の大歓声は生涯忘れることはない。あの打席で、たくさんの感動をもらった。今度は自分がファンの方を喜ばせたいと思った。そういう気持ちにさせてもらったから体が動いてくれたし、年齢を重ねていく中で4年間もプレーできた。今はマツダスタジアムに限らず、どこの球場に行ってもスタンドは赤く染まっている。選手はみんな勇気づけられているし、感謝の言葉しか見つからない。

 現役を引退してからは、おかげさまで忙しい日々を過ごさせてもらっている。最初の仕事はファッション雑誌のモデルだった。自分でいいのかびっくりして、恥ずかしかったけれど、初めての経験なので面白さもあった。プライベートでは、時間を見つけてジムやプールで体を動かしている。もともと太りやすい体質だから、後輩たちから「絶対太りますよ」と言われている。みんな自分が太ることを期待しているようだから、絶対に裏切りたいと思っている(笑)。

 2月はプロ野球のキャンプを訪問させてもらった。スーツ姿に不思議と違和感はなかったけど、引退したんだなと実感が湧いた。これまでカープとタイガースのキャンプしか知らなかったから、いろんな練習を見ることができて面白かったし、勉強にもなった。12球団を見て感じたのは、今年もカープは強いということだ。間違いなく優勝候補の筆頭。みんなが元気でケガなく頑張れば、「4連覇」の文字は十分に見えてくるはずだ。今年は丸が抜けた。戦力的に見て自分の抜けた穴はたいしたことはないけど、丸の穴は簡単には埋まらない。だけど、カープにはいい選手がたくさんいる。どんどん名前が出てくるし、新しくチョーさん(長野)も加わった。ファーストもレフトもポジション争いは激しい。丸がいなくなったのを一人で埋めようとするのではなく、みんなで競争して切磋琢磨(せっさたくま)してやっていけば、チームの力はまた底上げできる。後輩たちには「風邪引くなよ、ケンカするなよ、ちゃんとメシ食えよ」と伝えたい。ファンの方と一緒に応援している。

 これからは家族との時間を大切にして、いろんな土地に行ってみたいと思っている。これまで野球ばかりやってきたから、いろんな文化に触れて、いろんな人に会って、いろんなことを感じたい。夏には護摩行へ行くつもりだ。夏が一番過酷だと聞く。護摩行は自分の心についたホコリを落としてくれる。だから行かないといけない。

 最後に、7年間お世話になったタイガース球団、タイガースファンの皆さん、そして13年間お世話になったカープ球団、カープファンの皆さんへ感謝を伝えたい。20年間、ありがとうございました。(デイリースポーツ評論家・新井貴浩)

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