菊池先制V撃から10点満点!カープ13日にも「M27」
「広島10-3阪神」(9日、マツダスタジアム)
広島が10安打10得点の猛攻で連勝を飾り、カード初戦を制した。三回、菊池涼介内野手(26)の先制打など、打者11人で一挙5得点。七回にも新井の適時打、鈴木の16号3ランで得点を重ねた。2004年以来、今季13度目の2桁得点。巨人も勝利したが、最短で13日に優勝マジック27が点灯する。
猛打爆発で10得点の勝利でも、観客は殊勲が誰かを知っていた。「キクチ!、キクチ!!」。ヒーローを呼ぶ声が響く。「最高でーす」。決めゼリフを叫ぶ鈴木の横で、菊池は静かに笑った。2安打2打点2得点。2試合連続のお立ち台だ。
「石原さんが復帰してKJ(ジョンソン)が思い切ってバスターでつないでくれたので。何とかしたかった」
球場のボルテージが最高潮に達したのは三回だ。復帰戦となった石原が左前打で出塁。続くジョンソンはバントの構えから「自分の判断で」バスターを決行。阪神のバントシフトをあざ笑うように、打球は左中間で強く弾んだ。無死二、三塁から田中が死球。満塁で菊池に打席が巡った。
チェンジアップ、直球、スライダーで追い込まれた4球目。内角の145キロ直球に「対応」した。鋭い打球が三遊間を抜ける。先制点で流れを引き寄せると丸は押し出し四球。ルナが2点左前適時打で続き、鈴木の押し出し四球で計5点を奪った。岩貞をKOし、大勢は決した。
8月は32打数16安打で打率・500。昨季の悔しさが原動力だ。シーズン序盤に両膝を故障。「両膝の内側側副靭帯(じんたい)損傷」と「後十字靭帯損傷」の重傷だった。「届きそうな打球に届かず、何度も悔しい思いをした」。食欲もなく、体重も落ちた。だが、苦しんだ中で進塁打、右打ちを徹底的に学んだ。初球から積極的に打ちにいくスタイル。自由が利かない中で待球打法にも挑戦した。
「野村前監督も『初球から打ちにいくのは、良いことと悪いことがある』と。その意味が分かったのが昨年だった」。七回は中前打。新井の左前適時打、鈴木の3ランと、ダメ押し4得点の起点となった。リーグトップの138安打。昨季の143本を早くも超える勢いだ。
チームは連勝で貯金19。最短で13日にも優勝へのマジックナンバー「27」が点灯する。「あとは神様に聞いてください」。最後は共にお立ち台に上がった後輩の鈴木に、ヒーローの座を譲った。飾らず、ひたむきに。つなぎの2番が攻守でチームを支える。残り38試合。まだ見ぬ頂点に駆ける。全身全速力で。





