前田智、瞳潤ませ東京の鯉党におじぎ

 「巨人0-4広島」(29日、東京ド)

 試合終了後、真っ赤に埋まった左翼席に向かって走りだした。東京の鯉党の前で立ち止まり、深々と頭を下げた広島・前田智。「マ・エ・ダ、マ・エ・ダ」と自身の応援歌を背に受けると、瞳を潤ませ、現役最後の東京ドームを後にした。

 この日、左手首に死球を受けた4月23日のヤクルト戦(神宮)以来、約5カ月ぶりに1軍に合流した。「巨人は強いので倒すために(今まで)やってきた。特にアウェーで倒したいという気持ちでやってきた。今日は(勝って)よかった」とほほ笑んだ。

 九回の攻撃中に客席から「前田出てくれ」という声が飛び交ったが、出番はなかった。「代打?とんでもございません。今日はあいさつにきただけ」ときっぱり。ベンチ裏で体は動かしていたそうだが、「(試合後に左翼席に向かう時に)肉離れしないように体操をした」とにやりと笑った。

 試合前から球場内は異様な雰囲気に包まれた。前田智がフリー打撃を終えると、大きな拍手がわいた。練習後には三塁の観客席で臨時サイン会を開始。これまで試合前にファンにサインを書いたことがなかっただけに、異例の光景だった。

 10月3日には引退試合が控えている。「プレッシャー?いやいや、結果を求められているわけではないので」。ビジターでの前田智の姿はこれが最後。あとは本拠地で最後の花を咲かせるだけだ。

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