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騎手人生で学んだ「馬は大事にすれば応えてくれる」 JRA競馬学校の教官として新たな一歩を踏み出す武士沢友治元騎手

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 春は新生活がスタートするシーズン。競馬界にも4月から新たな一歩を踏み出した男がいる。3月10日付で騎手を引退した武士沢友治元騎手(46)だ。今では少なくなった馬を育てる職人肌のジョッキーだったが、JRA競馬学校の教官として人を育てる職務に就く。

 育成牧場との連携が密になった現在とは違い、ひと昔前はトレセンがメインで馬を仕上げており、騎手がいちから競走馬を育てることも珍しくなかった。レース直前の追い切りだけに騎乗する騎手もいたが、武士沢氏は普段のケイコから騎乗して馬を仕上げることが多かった。馬を育てる喜びと苦しみはたくさん味わった。その中でも印象深く残っているのは、24歳の時に出会ったトウショウナイトだ。03年8月の新馬戦からコンビを組み、全38戦のうち34戦に騎乗。06年アルゼンチン共和国杯で自身初の重賞制覇を成し遂げた。

 「最初に乗った時のインパクトは強烈でした。怖がりの性格だけど、柔らか過ぎるくらい柔らかい。まるで猫のようだし、すごい動きをしました。時期が来れば良くなるだろう思って調教をして、(3歳秋から)3連勝しました。それくらいの馬だと信じていたので、自信になりましたね。保田先生には感謝です。自分のやりたいことを聞いてくれました」と重賞路線で活躍するまでに成長したパートナーとの思い出を振り返る。「競馬の全てを教わった馬でした。調教からいろいろと考えて、ある意味でジョッキーをやらせてもらっている感じでした。馬を育てる喜びを実感しましたね。手の掛かる馬が一つでも勝てばうれしいけど、重賞を勝ってくれたら、ジョッキー冥利(みょうり)に尽きます」と感慨深げに語る。トウショウナイトは、騎手としての礎を築いてくれた存在だった。

 一方で、大成しなかった馬も多くいた。「これは良くなると思っていた馬でも未勝利に終わることがある。自分はいいと信じてやっても結果が出ないこともあるし、どうだろうと思ってやって勝つこともある。競走馬は難しいし、はっきりとした正解はないけど、自分のやり方が正解だと思ってやっていくしかないですからね」。無力さを感じ、苦しみもたくさん味わってきた中ではっきりと言えることがある。「馬は大事にすれば応えてくれます」。競走馬でも真摯(しんし)な態度で向き合えば応えてくれる。武士沢氏の実直な性格がにじみ出ている。

 競走馬を育てる職人は、こらから人材育成の道へと進む。「ジョッキーが一番ですし、この話を頂いた時は悩みました。ただ、人を育てることも大事な仕事だし、やってみようと思いました」と素直な思いを語った上で、「元騎手という立場から実際のレースに乗った感覚やトレセン、厩舎での過ごし方などは教えられます。自分のできることをしっかりやりたい」と前を向く。

 馬から人へ。今度は教官として喜びと苦しみを味わうことになるだろう。人を育てるということは本当に難しく大変なことだが、武士沢教官が多くの喜びを味わえるようになってほしいと思う。(デイリースポーツ・小林正明)

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