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ドウデュースと再び世界に挑戦 レジェンド・武豊の胸の内とは? ドバイターフ昨年はレース直前に左前肢ハ行発覚で出走取り消し

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 「ドバイWCデー諸競走」(30日、メイダン)

 4日後に迫ったドバイワールドカップデー。日本からも実力馬23頭が参戦するが、その中でも注目は2年連続でドバイターフ(30日・メイダン、芝1800メートル)に挑戦するドウデュース(牡5歳、栗東・友道)と武豊騎手(55)=栗東・フリー=だ。昨年はレース直前に左前肢ハ行が発覚。ゲートインすらかなわなかった。リベンジに燃える今年のレース。昨年末の有馬記念を制した最強のパートナーと再び世界に挑むレジェンドの胸の内を追った。

 無事にゲートインし、一つのレースを走り切るまでに、一体どれだけたくさんの人の思いや熱意が詰まっているのだろう。1年前のドバイターフ。京都記念で、凱旋門での大敗を払拭する、ダービー馬“らしさ”全開の圧巻の走りを見せ、「やっぱりドウデュースは強い」と、多くの人の期待を集めていた。レース当日が近づくにつれ、高まる日本のファンや関係者の期待。しかし、届いたのは「左前肢ハ行で出走取り消し」という残念な知らせだった。

 「あの時はめちゃくちゃ悔しかったなあ。ゲートインすらかなわなかったからね。その時に、絶対もう一回トライしようと思った」と当時を振り返る武豊騎手。普段、どの瞬間を切り取ってもスマートな印象の名手の、熱のこもった言葉に、改めて胸をギュッとつかまれた。

 1年の時を経て再び世界の舞台へ戻るが、ここまでは苦難の連続だった。22年ダービー以来となるライバル・イクイノックスとの対決に、注目が集まった昨年の天皇賞・秋。だが、ドウデュースの絶対的パートナーに思わぬアクシデントが襲う。大一番当日の5R後、他馬に右足を蹴られ、負傷。その後の騎乗を回避し、天皇賞・秋も乗り代わりとなった。

 けがの影響は長引き、続くJCでもその背中に主戦の姿は見られなかった。症状は軽くなかったが、「ドウデュースの存在が励みになった」とリハビリ中の武豊を支えたのは、やはりドウデュースだった。そして有馬記念で見せた人馬の復活劇。私だけでなく、全ての競馬ファンの心を震わせた。

 「海外ではまだ結果を出せていない。凱旋門賞も本来の走りじゃなかったしね。本当に、世界のみんなにドウデュースの走りを見てほしい」。そう言ってリベンジの時を心待ちする武豊。「ドバイは好きですね。ドバイが競馬を始めた時は、まだ今とは全然街の風景が違いました。世界中の競馬の中でも、ドバイワールドカップはやっぱり特別だしね」。待ち受ける新たな景色に武者震いするレジェンドの姿に、改めてこのレースに懸ける思いの強さを実感させられた。

 中間は、栗東CWでの1週前追い切りにまたがった。馬場の悪いコンディションのなか、6F79秒5-35秒5-11秒0の好時計をマーク。併せたハーパー(4歳オープン)を3馬身突き放した。名手は開口一番、「やっぱりめちゃくちゃ動くね。相変わらずさすが」。相棒の抜群の動きに、少し誇らしげな表情を浮かべたように見えた。

 ドウデュースの一番の強みは“総合力の高さ”だという。「スピードがあるし、瞬発力もある。それに持久力もある。気性も素直だしね。本当にすごい馬だよ」。その口ぶりから、パートナーとの絆の強さがヒシヒシと伝わってくる。

 いよいよ今週末に迫った勝負の日。「ここまで厩舎の方と、お互いを信頼し合ってやってきました。めちゃくちゃ楽しみ。世界レベルの力、見せたいね」。これまで数々の偉業を達成し、ビッグタイトルを手に入れてきた名手を、これほどまでに突き動かすのは、競馬への愛情、何よりドウデュースという馬の魅力だろう。

 もしかしたら常に上を目指し続けるこの貪欲さが、数々の名馬と武豊を引き合わせてきたのではないだろうか…。完全復活を果たした最高のコンビ。世界のターフで輝く姿を見せてくれると信じている。(デイリースポーツ・小田穂乃実)

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