家康が定めた鎮守の御利益

 【8月27日】

 徳川家康が現世に生きていたら、名古屋の球団にきっと「虎軍」と付けている。そんな妄想をしながら繁華街に潜む社を目指した。タイガースのチーム宿舎から歩いて30分ほど…。

 タワーマンションの隣でひっそりと、しかし、どっしりと鎮座している。

 昔からビジターゲームへ行けば、必ずその地のお宮さんを参るようにしてきた。タイガースと自分の安全祈願…名古屋でもこれまで何社か巡ってきたが、ここは初めて。というか、栄のど真ん中にこんなに有難い神様がいることを知らなかった。

 若宮八幡社。

 1610年、徳川家康が名古屋城築城に際し、社殿を栄に選び「名古屋の総鎮守」と定めたという社である。

 鎮守とはその地を災厄から守護する神、つまり名古屋を守る神社。

 そこを御参り?竜に肩入れしているのか?そう思われるかもしれないが、しっかり御利益を考えて参る。

 家康といえば?

 日本で最も有名な「寅年生まれ」の人といわれる。そればかりか、寅の日、寅の刻に生まれたという伝説も残るほど…。名古屋城の本丸御殿、その一之間と二之間の障壁画が「竹林豹虎図(ちくりんひょうこず)」…金箔と絵の具で描かれる虎の親子はそれはもう豪華絢爛。乱世で天下泰平を成し遂げた家康が「虎好き」だったことは、歴史ファンには説明が要らない。

 というわけで…遅ればせながら令和の虎をどうぞよろしく。

 今シーズンの名古屋最終戦。試合前に鎮守を参った甲斐があった…そう思いたい。

 ありがとう、坂本誠志郎。これ以上ない起死回生の逆転弾は、月間7本目のホームラン?「なんでですかね…」と、はにかんだ彼だけど、もう「ゾーン」に入っているのだろう。「打撃開眼」のドラマは1面で堪能してもらうとして、僕の中でこのゲームの猛虎は岡留英貴である。

 彼は朝まで山口県にいたのだ。ファーム・リーグで広島と戦うため由宇で準備していた右腕はいわゆる緊急昇格で名古屋へやってきた。

 昇格即登板は下村海翔のKOで巡った3番手。2イニングをパーフェクト。4奪三振はグッときた。終盤逆転劇一番の立役者は彼。指揮官の藤川球児も、キャプテン坂本も、チームの仲間も、ファンもそう思っている。

 それにしても竜は手ごわかった。この強竜が「14年ぶりのCS」を目指すと聞いて驚きもある。最近10年間のAクラスは20年の3位のみだが、しかし、同年はコロナ禍でCS中止。その前のAクラスとなれば高木守道政権の12年まで遡らなければならない。失礼ながら、まるで暗黒期の虎を見ているよう…だけど、その壁を打ち破ろうと熱くなる軍が侮れない存在であることはこの3つのゲームでよく分かった。

 長期ロードは14勝9敗?この数字の評価は秋に出る。さあ、ホームへ帰ろう。1・5差で迎える巨人との天王山。もう神頼みはしません。虎の鎮守は甲子園。勝つしかない。=敬称略=

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