ついに壁が破られるとき

 【10月5日】

 NHKの竹林宏アナと親しげに喋っていると、「どういう繋がりなんですか?」と他局アナからツッコまれたことがある。そういえば、話すようになったきっかけは何だっけ…。

 スポーツアナとして世界的イベントを何度も実況してきた人だから、あの名調子のファンも多い。個人的には、北京オリンピック陸上男子4×100mリレーの決勝は忘れられない。

 「ニッポンは銅!ついに壁が破られました!」

 ボルトが3走でぶっちぎったジャマイカが金。日本はアンカー朝原宣治が3位でゴールし、リレー種目で初めてメダルを獲った歴史的なレース…竹林アナ渾身の実況は今も鼓膜に残る。

 他局より自然とNHKに知り合いが多くなったのは、僕の母が長らくNHK大阪放送局の編成に勤めていたからだと思う。自分の勤め先でもないのに帰属意識を持つのは変な話。でも、我が家が藤川政権に親しみを抱くのは球児がNHKの解説者だったから…。郷が同じ、高校や大学が同じ、励んだスポーツが同じ…みんな帰属意識で仲良くなることは多いもの。それにしても今年のプロ野球は…我が神戸新聞を盛り上げてくれてありがとう。

 佐藤輝明、小園海斗、近本光司、才木浩人、村上頌樹、大勢…投打のタイトルホルダーに兵庫出身がずらり。彼らのお膝元で働く自分にとっては…。 いま野球界は兵庫が熱い。というわけで、この日向かったのは姫路ウインク球場。高校野球秋季大会の兵庫県大会決勝戦である。雨天で開始が遅れ、終わったのは日が暮れた18時前…。

 やはりファイナルともなれば、スタンドにはプロ野球関係者で馴染みの顔も何人か…。阪神スカウトの筒井和也はこの日が誕生日。「44歳の初仕事」でグラウンドに熱視線を送っていた。 そして、もうひとり…。

 「あれ?風さん?なぜここへ?」

 ヤクルトスカウトの阿部健太だ。

 いや、コラムを書くために来たんだけど…。ああ、あなたはそうか!

 決勝戦のカードは市立尼崎VS神戸国際大付。市尼といえば、ヤクルト次期監督の母校…。だから来てるんだ?

 「あのね、何でも結びつけないでくださいよ(笑)。来年の選手発掘のために見に来てるんですよ」

 確かにヤクルト球団からまだ何の発表もない。市尼は惜しくも決勝で敗れたけれど、20年ぶりの近畿大会出場に沸く応援席は、早くも同校が生んだスターへの期待感で溢れていると聞く。ついに大きな壁を破って初のセンバツ切符を掴めば、来年は池山隆寛スワローズを盛り上げる尼崎市民が増えるか…なんて、あまり余計なことを書くと阿部に怒られそうだからこのへんで。

 それはそうと、フェニックス・リーグへ向かう阪神監督の藤川球児がこの日新井カープの来季に言及したそうだ。

 「燃えるようなチームになるんじゃないか…」

 Bクラスに甘んじた敵軍だって点火のきっかけが何かあれば壁を破るかもしれない。日本一を見据える秋に早くも来春の風を感じる。=敬称略=

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