一意尊心のごあいさつ

 【1月6日】

 一意尊心。

 広島カープ監督・新井貴浩からの手紙にそう書かれてあった。一意専心…ではないのか。目いっぱい、語彙の引き出しを開けながらその言葉の意味をさぐってみた。

 このたび広島東洋カープ監督に就任いたすこととなりました。

 甚だ微力ではございますが、

 一意尊心

 広島東洋カープの更なる発展に全力を尽くす所存です-。

 毎年の賀状とは別に、新井からそれが届いた。律儀な彼らしい挨拶状だけど、さて…。

 一意専心とは「他に心を向けずその事のみに心を用いること」だが、一意尊心という四字熟語はなく、それを説明する辞書もない。

 誤字?いや、一生に一度の挨拶だから、きっと熟考を重ね、念入りに見直しているはず。

 どなたか大切な方からいただいた言葉?もしかして、尊敬する護摩行の師からのものか…。

 年始早々「これ、どういう意味?」などと本人のケータイを鳴らす趣味はないので、自分なりに推し量ってみることにした。

 「一意」とは「一つのことにだけ心を集中させること」。

 「尊心」という言葉はないが、「心を尊ぶ」とよむなら、おそらくこの「心」は、選手、スタッフらカープファミリー、そしてカープファンの心を指し、この先どんなことがあっても、それを尊ぶことに自分の気持ちを集中する。

 ん?違う?

 答え合わせは、2月。カープのキャンプ地を訪れたときに新井監督に聞いてみるとして…

 われらが岡田阪神の「答え合わせ」こそ楽しみな23年の新春である。

 沖縄キャンプまで3週間ほど。あっという間に1、2軍のメンバーが発表され、いよいよサバイバルが僕らの目の前で始まる。

 岡田は昨秋から一部選手を「レギュラー」に指名し2月を迎えるわけだが、容赦ない答え合わせはこれからだ。「○○をレギュラーとして考えてる」。指揮官の言葉に「ウソ」はないが、それが確定したわけでも、それを約束したわけでもない。逆に名指しされた選手がその自覚をもって臨んでこなければ、「手形」は消えるし、逆に、「おぉ、ええやん」と岡田の心を鷲掴みにする面々は、いつでも新候補になる。

 セ・リーグの新監督、岡田と新井に注目が集まる今シーズン、僕は両将の用兵に注目したい。レギュラーとして誰を選ぶか。重用するか。新井は「俺はお前たちを好き嫌いで起用しない」と選手の前で言った。岡田も、わざわざ言うことはないが、同じ。この両者、声掛けやアプローチはまるで異なるけれど、選手を選ぶ目は、他に心を向けず、一意専心…。

 一意-のつく四字熟語には、他にもう一つ、「一意攻苦」(いちい・こうく)というものがある。

 「いちずに心身を苦しめて努力すること」

 一意、そんな選手の専心を目に焼きつける2月が待ち遠しい。=敬称略=

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