「17秒」から教わること
【8月17日】
ヒーローインタビュー担当は橋本航介アナウンサーです…そうか橋本がベンチ裏に陣取っていたのか。この夜サンテレビが開局以来初めて東京ドームから中継し、同局のボックス席チームが見参…。
「2本目?逆方向への当たりだったので良かったと思います。逆方向へ(本塁打が)出るときはいい状態なので…。田淵さんに並んだ?すごく偉大な方に並べたのは光栄ですし、嬉しく思います」
橋本アナが佐藤輝明から引き出したヒーローコメントである。
DeNA浜口遥大の直球を捉えた打球が右翼席へ…新人左打者の本塁打記録を75年ぶりに更新すると、さらに左中間へ運んだ一発で田淵幸一の球団新人記録にも並んだ。サンテレビも、橋本アナも、そんな試合に携われて幸せだな…なんて考えながら、輝のコメントを聞いてふと考えてみた。
この日、神戸でテレビ観戦した僕が、もし東京ドームにいて、なおかつヒーロー取材が叶うなら、歴史を塗り替えた輝にどんな質問をぶつけるだろうか。
この球場を本拠にすれば、今ごろ田淵の記録をとうに通過し、清原和博のもつ新人最多31本塁打の更新も目の前にあるはず…いやG軍に対するやっかみでもなく、これが僕のホンネ。だから、こう聞くかも。
東京ドーム、好きですか?
輝は「へ?」とか「いや…」と間を置いて「何聞いてんの?このおっちゃん」と思うだろうか。それとも…。
取材者としてお恥ずかしいことだけど、このご時世もあって僕はまだ怪物ルーキーと面識がない。
だから、佐藤との間にはきっと見えない「壁」があるし、面識のある大山悠輔なら答えてくれても、佐藤がまともに答えてくれない類の質問もあると思う。だから、どうだろう。橋本アナのように歴史的な1本をナマ取材したかった気持ちは満々だったけれど、「役立たず」で終わったかもしれない。
そう、橋本といえば、今週日曜の広島戦である。ヒーローインタビューで、お立ち台の近本光司、岩崎優にマイクを向け、五輪帰りの岩崎を黙らせてしまったシーンがファンの記憶に新しいと思う。
実はあの後、僕は橋本と話をした。熟考したうえでの、あの質問だったそうだけど、彼は反省していたし、逆に「風さん、あのインタビューをどういうふうに見られました?」と聞かれたりもした。
僕の感想を書けば、この欄に収まらないので省かせてもらうが、過去に自分も同じような経験をしたことがあると答えておいた。
マイクは向けないが、選手から無言を貫かれたことも何度か…特に敗戦後の金本知憲や矢野燿大への取材は覚悟していたことも。
勉強、そして、反省…橋本は様々な意見を踏まえ、あの夜のVTRを何度か見返したそうだ。
沈黙は「17秒」あったという。
僕にとって直接取材から遠ざかるコロナ禍に於いて、あの17秒間から学ぶことも多い。にしても、橋本…佐藤へのインタビューちょっと元気なかった?=敬称略=
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