阪神育成1位・神宮が“日本一”最後の砦 立石&岡城は敗退「阪神は育成も強いぞというのを見せたい」神宮V手土産に
阪神から育成ドラフト1位で指名された神宮僚介投手(22)=東農大北海道オホーツク=が5日、北海道網走市内で、畑山統括スカウト、東編成ディレクター、葛西担当スカウトから指名あいさつを受けた。14日に開幕する明治神宮大会への出場が決まっている、最速148キロの横手投げ右腕。クマの出没で練習が制限される非常事態を乗り越え、阪神を代表して日本一を目指す。
澄み切った空気、赤や黄に色づいた木々が並ぶ道を駆け抜ける-。そんな見慣れた景色に“異変”が生じたのは10月中旬ごろだ。大学周辺でクマの目撃情報が相次ぎ、徒歩や自転車での通学が禁止に。神宮ら大会が控える硬式野球部以外は、活動休止を余儀なくされた。
「去年までずっと寮から大学まで走って行ってたんです。今日やることとかを考えながら走っていたので、そういう時間を別で確保しないと…」
学生寮からキャンパス内のグラウンドまで約5キロ。部員たちを最後に待ち受けるのは傾斜が急な通称「農大坂」だ。「結構キツい」と苦笑いするが、思考の整理や体作りに欠かせぬ道のり。現在はマイクロバスで通っており「楽になったのかもしれないですけど、自分が4年間培ってきたモノなので」と複雑な心境を明かした。日が暮れるまでに終了するため練習時間も制限される中、「怖さはあるんですけど、学校に許可をいただいて非常にありがたいので、できるメニューを一つ一つ丁寧にやっていくだけです」と最善を尽くす。
思わぬ事態を乗り越え、狙うは神宮大会初Vだ。阪神からドラフト指名された選手では、1位の立石(創価大)と3位の岡城(筑波大)がともに関東代表決定戦で敗退。阪神も日本シリーズで敗れただけに、神宮が今年日本一になるチャンスを残した“最後の砦”だ。同シリーズはテレビ観戦したといい「以前と見方が変わった。自分はまだまだだと再認識させられたのと同時に、これからが楽しみでしょうがなくなりました」と右腕。「同学年が神宮大会に出られないので、自分が結果を出して、阪神は育成も強いぞというのを見せたい」と仲間の分まで雪辱を誓った。
指名あいさつを受け、気持ちも一層、高まった。「いち早く支配下登録されるように、しっかり準備していきたい」。昨年トミー・ジョン手術を受けた苦労人。日本一を手土産に、プロの世界へ飛び込む。
◇神宮 僚介(じんぐう・りょうすけ)2003年5月27日生まれ、22歳。群馬県吉岡町出身。178センチ、81キロ。右投げ右打ち。小学3年時から吉岡ジュニアファイターズで野球を始め、吉岡中では軟式野球でプレー。桐生第一では2年秋からベンチ入り。東農大北海道オホーツクでは1年秋にリーグ戦デビューし、2年時に横手投げに転向。昨年7月に右肘トミー・ジョン手術を受け、今秋に復活し最高殊勲選手賞を獲得。50メートル走6秒1、遠投105メートル。卒論のテーマは、地元の草津温泉を事例とした「温泉地の地域活性化に関する研究」
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