糸井嘉男氏 阪神首位独走の分岐点は7・4大山外し 新人監督とは思えない藤川監督の決断を指摘 佐藤輝の三冠王近道は
阪神、オリックス、日本ハムで活躍し、今春の阪神キャンプで臨時コーチも務めたデイリースポーツ評論家・糸井嘉男氏(43)の「超人目線」。今回は15勝4敗と首位独走を呼んだ7月の戦いを分析。大山をスタメンから外した4日・DeNA戦をターニングポイントに挙げて解説した。2年ぶりのリーグ優勝も見えてきが、あえてその言葉を“封印”。監督、選手の思いを感じながら「没頭」の重要性を語った。
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チームは最高の状態で戦っています。「2年ぶりのリーグ優勝が見えた」。よくそんな言葉を耳にしますが監督、選手の立場からすれば「まだ早い」と考えているはずです。一試合、一試合と、日々の積み重ねが生んだ結果として、7月は15勝4敗で勝率は驚異の・789。首位独走を導いた背景には、藤川監督の決断があったと考えます。
ターニングポイントは4日のDeNA戦。5連勝と波に乗ってきた中で、大山選手をスタメンから外しました。ケガをしない限り休ませない選手だと思っていただけに聞いた時はかなり驚きました。連勝中に動けば流れが変わる怖さもあります。それでも監督が何かを感じたのだと思います。
大山選手は翌5日の試合でスタメン復帰即3安打。7月は67打数23安打で打率・343、16打点と、いずれも月別の最高成績で一気に状態を上げました。監督の決断を結果で正解にしたと言えます。また、この試合で熊谷選手が決勝打を放ったように、小幡選手や坂本選手など、日替わりヒーローが生まれています。
主力からしても休めば誰かが活躍する…うかうかとしていられない気持ちになります。チームとして相乗効果が生まれる状況。その流れを引き寄せたのもマネジメント力に他ならない。新人監督とは思えないですし、本当に驚きの采配でした。ここからの試合、キーマンはいません。監督が言うように今まで通り一試合、一試合、自分たちの野球に没頭することです。
個人では(佐藤)輝が首位打者も射程圏内に捉えました。5月に「三冠王、あるな」と予感を評論で書きましたが、面白くなってきましたね。技術的には高めと低めの見極めや、直球を打ち返せるようになった…などいくつかありますが、オフに2人で話したのは「不調になった時にどうするか」。本人は「オフからやったことを貫く」と言いましたが、1年間やり続ける信念が結果になっているように思います。
ここまで試行錯誤してきて、新人のころと打撃フォームも変わりました。どんどん無駄を省いて、その中でもパワーが落ちない。豪快に見えますが、他の選手の映像を見るのも好きですし、本当に研究熱心なんです。踏み込む右足の強さの配分も考えているような選手。今年は頭と体で考えていることが一致している。理想と現実が合ってきているので、穴がなくなってきていると思いますね。
残り51試合。タイトルを取るために大事なことは、それを意識しないことじゃないでしょうか。オフから取り組み、今まで築き上げてきた自分のバッティングを貫いて、優勝を目指していくことが一番の近道だと思います。打率を上げようとか考える必要は一切ない。ここまでやってきて穴が少なくなってきたことは、本人が一番自覚していると思います。リーグ優勝と令和初の三冠王。楽しい夏になりそうです。
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