なぜ?阪神・佐藤輝19発キング独走の進化の理由とは 外的要因の影響受けない打球速度いつもチェック メンタルも成長
阪神の佐藤輝明内野手(26)が、交流戦終了時点で19本塁打とリーグトップを快走中。球団では1986年のバース以来となる本塁打王へ突き進んでいる。デイリースポーツでは4月に逆方向をテーマに特集。2カ月が経過した今でも安定した成績を残し、チームに貢献している今季の進化と成長の要因に迫った。
佐藤輝の進化。それは打球速度に表れているという。打球速度は、風や球場の特徴といった外的要因を受けない。例えば広い球場や風が強い日の打撃練習、試合で捉えた打球がフェンスを越えなくても、スピードが出ていれば安心材料になるという。力みもなくなり、打撃を崩すリスクを抑えられる。
それゆえ、佐藤輝は打撃練習中、タブレットに表示される打球速度をいつも気にしている。「影響を受けない数値なんでね。見ますね」。自身の状態をチェック。それによって練習法につなげるなどし、うまく活用している。
1年目から見ている球団アナリストは最速ではなく、平均値に注目していた。「年々、速い割合が上がっている。詰まっている打球が減っている印象があります」。ウエートトレーニングに加え、柔軟性で発揮されるパワー。さらに、オフから取り組んだバットの軌道修正が、かみ合った結果になっている。
本塁打の打球速度を見ると、今季はコンスタントに170キロを超えている。18日のロッテ戦(甲子園)で放った19号は171キロ。大谷翔平クラスの打球速度でオーバーフェンスを連発している。
15日の楽天戦(楽天モバイル)。確信歩きをし、結果的にフェンス直撃の一打となった打球も、データ的には速度、角度ともホームランになる当たりだったという。球団アナリストは「錯覚ってどうしてもある。野外だったら入らないとか」と、飛距離に対する風などの外的要因を指摘。痛い走塁ミスになっただけに、「錯覚」で自身を見失わないことも重要だ。
打撃練習でも1球に対する集中力を感じる。ホームでは打撃ケージが2カ所あるため、2人一組で球数を決め、短いスパンで代わる。ただ、ビジターではケージが1カ所になる。他の選手は時間を決めて打ち続けることが多い中、佐藤輝は森下らとペアになり、ホーム同様に5球で交代する。「ずっと打つのはしんどいし、僕はそっち(球数で交代)の方が好きなんで」と理由を明かす。
集中力を含めたメンタル的な成長は、藤川監督も感じていた。「心の安定と言いますか、あまり感情を動かさずに1打席、1球に対する姿勢が変わらず同じだということが、安定したパフォーマンスにつながっている」。開幕直後こそ不振に陥ったが、5月以降2試合続けて無安打は一度もない。17日のロッテ戦では、4三振を喫するも、翌日には特大アーチを放つなど今年の佐藤輝は、何かを起こしてくれそうな期待感がある。
本人も「(状態は)許容範囲内に抑えられている」と、波の少なさに一定の手応えを感じている。メンタル面についても「一喜一憂する立場じゃない」とキッパリ。言葉からも頼もしさが増している。
チームは現在首位。V奪還、さらには阪神にとって念願のタイトルとなるホームラン王の誕生。その瞬間まで、虎の大砲は走り続ける。(デイリースポーツ・滋野航太)
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