阪神・近本光司は「常に考えている」3人の打撃投手が語った1000安打の裏側
阪神の近本光司外野手(30)が7日のオリックス戦(甲子園)で通算1000安打を記録した。球団生え抜きでは最速となる861試合目での達成。近本を入団から知る多田昌弘打撃投手(50)、小山内大和打撃投手(43)、高田周平打撃投手(39)が、試行錯誤を重ねる「近本像」を語った。
近本を入団当初から見ている3人の打撃投手は、「彼は常に考えている」と口をそろえる。今年1月、沖永良部島での自主トレにも同行した多田打撃投手。広島時代から金本知憲氏の専属打撃投手を務めるなど、多くの名選手を見てきたベテランでも「何を考えているか全然分からない。気にはなるんですけど、意識したりしたら困るし聞いたことはない」と、近本の思考は未知の領域だと語る。
日々の練習で近本に投げている小山内打撃投手は「探究者」、高田打撃投手は「学者的な感じで追究している」と表現。こだわりが強く見える近本だが、意外にも練習で打撃投手にコースやゾーンなどを指定することはないという。しかし、そこにこそ「近本流」のミソが詰まっている。
打撃投手の球も決して一定ではない。どうしてもシュートしたりカットしたりすることもある。選手に気持ちよく打ってもらうためにも、打撃投手はそのばらつきを最小限にすることを心がける。しかし、近本は「それが練習になるんでいいです」と、むしろばらつきを求めるという。なぜなら「試合でも同じ球がくることはないから」。来たボールに対して「こういうアプローチをしたらこういう結果になったから、今の自分の状態はこうなっている」と一球一球確認している。
小山内打撃投手は「滑ったりしたボールでも、それをうまく打って、今の打ち方が良かったと確認している」と話し、高田打撃投手も「僕も結構引っかけたりしてカットするボールなんですけど、『それをどうやって打ってやろう』みたいな感じで打ちにきている」と証言した。
その中でも近本は見逃す練習、ファウルを打つ練習、引っ張る練習、流す練習などをする。特に大事にしているのが見逃すこと。「バッティング練習はストライクばっかりくる中で、ボールだった時に見逃すのが大事」と近本。常に本番さながらの練習をしているからこそ、試合でどんな球にも対応し、結果を残し続けられている。
多田打撃投手も「練習と試合をつなげていくのがうまい選手」とうなずく。続けて「あんまりないじゃないですか。彼みたいに試合でもそのまんまで落ち着いてるのは」と強みを明かした。いつでも冷静に、仕事を全うできるのも日々考え、試行錯誤しているから。「近本流」の積み重ねが1000本の安打につながった。(デイリースポーツ阪神担当・山村菜々子)
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