阪神・近本 通算1000安打「なんとか甲子園で」願い叶えた!宮城から3安打 球団生え抜き最速、藤村富美男超え
「阪神8-2オリックス」(7日、甲子園球場)
虎のスピードスターが、球団最速記録を塗り替えた。阪神の近本光司外野手(30)が3安打を放ち、通算1000安打を達成した。861試合での達成は864試合の藤村富美男を抜いて、球団生え抜き選手では最速。球界屈指の左腕・宮城から一気の固め打ちで決めた。チームは逆転勝ちで3連勝、今季最多の貯金13。2位・DeNAとのゲーム差を今季最大の3・5に広げた。
鋭い打球が一塁線を破った。近本は二塁を大きく回り、大歓声が降り注ぐ。甲子園の虎党の前で決めた通算1000安打。記念のボードを受け取ると、いつもと変わらないポーカーフェースで声援に応えた。
「最近調子は良くなかったので。だからなんとか甲子園で、なんとかみんなの前でという気持ちはありました」
節目まで残り3で迎えた一戦。宮城から三回2死で記録した中前打がスタートの合図だった。六回無死一塁では得点につなげる右前打で王手。そして迎えた七回2死一、二塁の第4打席だった。初球の直球を迷わず振り抜いた。「追加点と思って、1000本目というのはあまり考えていなかった」と放った1000安打目で4点目を追加。5月17日・広島戦(甲子園)以来の猛打賞を宮城から記録し、節目の時を迎えた。861試合での達成は藤村富美男さんを抜いて球団生え抜き選手では最速。「自分だけの力ではないと思っています」と謙虚に周囲への感謝を語った。
ストイックなイメージの近本にも“腐っていた”時期があった。「暗黒時代」と振り返るのが関学大時代。投手として入部した理由も、野手よりグラウンド整備が楽だからだった。今ほど野球への熱量はなかった。
1年時には肩肘を痛めた。投げられず、まともに野球ができない日々。チームメートが「3日間くらい見てなくね?」と話すほど、練習に来ない日もあった。「あれはあれで楽しんでたよ」と回顧するが、野球から離れた生活を送っていた。
転機が訪れたのは1年の冬。現在も個人トレーナーを務める当時チームメートだった植松弘樹さんと一緒にトレーニングを始めたことだった。体の使い方などを勉強していた植松さんの影響で近本も知識が身につき、野球にハマっていった。
けがの影響もあり2年時には野手転向を決意し、めきめきと頭角を現していった。プロすら考えていなかった大学時代には想像し得なかった1000安打。「離れたら離れたで野球は楽しいなって思える」。暗黒時代があったからこそ、達成できた記録だ。
アマチュア時代からずっと変わらないのは、変化を恐れないこと。自分の状態、相手の状態に合わせてスイングやアプローチを変える。「変わらないことの方が、僕は進化が止まるかなと思う」。その意識が近本の最大の強みとなっている。
自身にとって節目の一戦でチームは3連勝、今季最多の貯金13。「1001本目というのをすごく大事に。早く出したいと思います」。近本はすでに次の一本を見据えていた。
◆通算1000安打 阪神の近本外野手が7日のオリックス②戦(甲子園)の七回に宮城から右翼線へ適時二塁打を放って達成。プロ野球323人目。初安打は19年3月29日のヤクルト戦で小川から。
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