【ありがとう球児】阪神・藤川、登板前「命がけ」のラスト1球 片山ブルペン捕手が振り返る

 今季限りでの現役引退を発表した阪神・藤川球児投手(40)が、10日・巨人戦(甲子園)で最後のマウンドに上がる。3日後に迫る引退試合へ向け、藤川にゆかりのある人々が語る球児伝説を紹介する。第2回は片山大樹ブルペン捕手。

  ◇  ◇

 登板前、藤川は必ず片山ブルペン捕手のミットへ、ラスト1球を突き刺す。九回にバッテリーを組む若手捕手が球を受けにきても、最後は片山ブルペン捕手を指名した。1軍に定着した頃から変わらないルーティンだ。

 「力いっぱい投げるのはラストの1球だけ。それまではバランス、球質を考えながら調整して『さあいくぞ!』っていう最後の1球だけ、ものすごい球を投げていた。あの球が試合の球なんだなって。1日1球しか受けてないですよ。火の玉ストレートは(笑)」

 片山ブルペン捕手が準備の一コマを感慨深そうに振り返る。現役最後の2年間を一緒にプレー。自身の2軍引退試合でも登板してくれた藤川の球を受け続けた。もちろん、“火の玉”と称される魔球のすごみも知る。

 「キャッチボールでも球が落ちてこないですね。スーッと遠くに投げるんですけど、フォームもそんなに力いっぱい投げてない。軽~く放って、スピンだけで投げる。ブルペンでも低めのボールが落ちてこない。みんな高めという意識があるけど、低めの球がめちゃめちゃすごいですね」

 藤川が1軍に定着した2004年の夏場。「大樹さん受けてください」と相棒に指名され、こう言われた。

 「命をかけて受けてください」

 「ああ、分かった。命をかける」

 そこからお互いプロに徹した。食事などプライベートの付き合いは一切なし。「なあなあになって仕事に支障がきたら…。大樹さんとは完全に仕事でやりたい」。藤川の思いに、片山ブルペン捕手も「命がけで」応えた。

 「ブルペンキャッチャーをやって20年、球児も一緒にやってきたと思っているので。一緒に成長させてもらった。後輩やけど、すごく感謝しています。最後はもうつぶれるまでやってもらって、引退試合は下から投げるぐらい、腕が上がらんぐらい(笑)。全力でやってほしいですね」

 ジョークを交えながら、片山ブルペン捕手は完全燃焼を願った。引退試合の夜も、こん身の火の玉ストレートを受けてラストマウンドへ送り出す。

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