阪神・藤川、東京D“引退式”に感謝「子供の頃に戻りました」

 「巨人2-4阪神」(25日、東京ドーム)

 敵味方関係なく、惜しみない拍手が送られた。今季限りで現役を引退する阪神・藤川球児投手(40)が登板機会がなかった東京ドーム最終戦の後、グラウンドに姿を見せ、ファンの声援に応えた。甲子園での登場曲が流されるなど、敵地で異例の演出が施された。感謝の思いを胸に、数々の名勝負を繰り広げてきた宿敵の本拠地を後にした。

 まだ仕事が残る右腕ではなく、左腕を上げて声援に応えた。ナゴヤドームに続き、敵地で異例のセレモニー。感謝と追想の3分間を、藤川は夢見心地で過ごした。登板機会なく終えたが、最後はマウンドに立って記念撮影。背番号「22」に無数のフラッシュが光る。

 「まさか敵チームでね、自分が(セレモニーを)してもらえるとは思っていなかった。感謝しています。子供の頃に戻りました」

 22年間のプロ生活。猛虎の血が流れる男も、原点は巨人に憧れた少年だった。平成の大エース、斎藤雅樹の背中に夢を見た。自らの未来を重ね合わせた。ドラフト1位で阪神入団後は、打倒巨人を宿命にした。粉骨砕身でカード別最多、143試合に登板した。

 清原和博、高橋由伸、阿部慎之助…。数々の名勝負を繰り広げたからこそ、試合前から続いた「粋なサプライズ」が心に染みた。練習開始直後に藤川の登場曲、LINDBERGの「every little thing every precious thing」が流れた。敵地で異例の惜別だった。

 これだけではない。登板機会があれば、登場曲が流れる予定だった。原監督が用意したサプライズ演出。幻には終わったが試合後も含め、打倒巨人に生きた男に贈られた特別な時間だった。ベンチから見届けた3連戦。投げたかった気持ちもあるが、勝利が何よりものプレゼントだった。

 「後輩たちが最後に、今年初めて勝ち越してくれた。その輪の中にいれて、少しでも自分がいることが影響したと思うと、うれしい。来年からはそれすらかなわないですから」

 東京ドーム最終戦。執念の連勝フィニッシュに来季の希望を見た。巨人に勝ちたい。強い巨人に勝って優勝したい。夢の続きは後輩たちに託した。打倒巨人の精神は紡がれていく。ありがとう、また会おう。球場全体からの拍手を浴びながら、グラウンドに深々と頭を下げる。球児伝説を彩った舞台に、最後は笑顔で別れを告げた。

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