【野球】なぜ阪神・岡田監督は7点差逆転負け翌日に打線を組み替えたのか マルチ安打の佐藤輝をスタメンから外す大胆采配 驚きのオーダーに隠された意図とは

 「DeNA0-1阪神」(12日、横浜スタジアム)

 7点差逆転負けの翌日、岡田監督が大幅に打線を組み替えた。昇格後2試合連続安打中だった井上をプロ入り初の1番に据え、3番には前日11日に自身初の満塁弾を放った近本。だが、前日に2安打を放っていた佐藤輝はスタメンから外し、森下も今季初めて2試合連続で先発オーダーに組み入れなかった。

 7点差逆転負けは2022年の開幕戦以来というショッキングな出来事だったが、それでも打線は9得点を奪っていた。なぜ、岡田監督はこのタイミングで打線組み替えに踏み切ったのだろうか。

 佐藤輝は2021年の入団以降、全試合でスタメン出場した22年を除いて、たびたびスタメンから名前が消えるケースがあった。岡田監督が就任した昨年も、1安打した翌日にスタメンを外れるケースは2度あったが、それでも2安打した翌日に先発出場しなかったのはプロ入り初。大貫との過去3年の対戦成績が19打数2安打の打率・105という苦手を示す数字を考慮した可能性も考えられるが、森下は最終的に今季初めて試合に出場することがなかった。

 阪神OBの中田良弘氏は「岡田監督の頭の中では、将来を見据えても森下と佐藤輝は確固たるレギュラーになってもらわなければ困る存在だと思う。ただ、チームがより強くなるためには、チーム内での競争が激しくなって戦力を底上げすることも必要不可欠。打線変更、スタメン落ちについては2人に刺激を与える意味もあったんじゃないかな」と指摘し、続けて「森下は粗さが解消できてないし、佐藤(輝)は2安打したけど、1本は風に助けられたもの。トドメを刺したかった八回1死一、二塁で二ゴロ併殺打に倒れるなど、まだ確実性に欠ける面があるから、ベンチから試合を見ることの悔しさを味わわせたかったんだと思うな。岡田さんはそういう時にどういう姿勢でいるか、どういう態度を取っているかをしっかり見てるから」と解説した。

 岡田監督は12日の試合後、井上を1番、近本を3番に据えた新打線について「いや、いろいろずっと考えてたんや、おーん。これは前から言うとったんや。2番・中野、3番・近本っていうな。1番にちょっとな、なんか一発ありそうなのを例えば森下とかそういう感覚でな。1回行こうかっていうな」と説明した。

 就任1年目にリーグ優勝、日本一を成し遂げたメンバーではあるが、指揮官は続けて「そんな、去年と同じ形じゃできへん言うて。それはずっと話はしとったんや。ミーティングの時に」と現状維持ではなく、今の実情を把握し、先を見据えた一手を打たなければ、唯一無二の目標に掲げたリーグ連覇は成し遂げられるものではないと改めて声にした。

 14日から始まる中日3連戦の先発は、高橋宏、小笠原、梅津が予想されている。外野でいえば近本、昇格後3試合連続安打中の井上のスタメンは確実と思われ、残り1枠は右腕相手ということで前川を起用し、森下が3試合連続でスタメン落ちする可能性も考えられる。佐藤輝に関しては12日に代わって出場した糸原が3打数無安打に終わったこともあり、スタメン復帰する可能性は十分にある。

 中田氏は「ベンチにいることしかできなかった悔しさを晴らすことができるか。チクショーと思ったはずなんだよね、2人とも。だから次に出た時の結果が持つ意味は大きい」と語った。

 切磋琢磨を繰り返すことでチーム力はアップする。それでも常勝軍団を築くためには、頼りになる軸、太い幹は欠かせない。25歳の佐藤輝、23歳の森下。何度も訪れるであろう壁を乗り越えるたび、強さを身につけていくだろう。岡田監督も数ある引き出しを開ける効果的なタイミングを計りつつ、一本立ちのために手を差し伸べていく。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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