望月 プロ初星6回0封!DeNA戦勝ち越し決定 逆転CSへ3・5差

 プロ初のお立ち台で、ウイニングボールを掲げて笑顔を見せる望月
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 「阪神8-0DeNA」(22日、京セラドーム大阪)

 4年目の阪神・望月惇志投手(22)が待望のプロ初勝利だ。今季3度目の先発となった右腕は立ち上がりから走者を許す投球が続いたが、要所を締めて6回を3安打無失点。故障など紆余(うよ)曲折の道のりを歩んできた若虎が、やっとウイニングボールを手にした。チームも3連勝で、3位・DeNAとは3・5ゲーム差。新たな戦力が加わった猛虎が逆転CSへ突き進む。

 帽子を取り、“空”を見上げる。ここは京セラドーム。だが、望月には“空”が笑っているように見えた。おじいちゃん、頑張るね。6回3安打無失点でつかんだ、プロ初勝利。思いよ、届け-。初めてのお立ち台でウイニングボールを披露すると、満点の笑顔がはじけた。

 喜びも、悔しさもあふれた106球だった。ポイントになったのは、3点を奪った直後の四回。安打と2四球で、1死満塁のピンチを背負った。何度も首を振り、大きくうなずく。マウンド上で覚悟を決めた。「真っすぐを自信持って投げてきたので」。大和を見逃し三振、代打・戸柱を左飛に打ち取った球は、いずれも磨きあげた153キロの直球だった。

 15年10月22日。これが望月家にとって、運命の日となった。三男坊がドラフト4位で指名され、夢がかなった日。でもそれは大切な祖父・策康さんが、がんを宣告された日でもあった。「毎週のように試合を見に来てくれて。大好きでした」。おじいちゃんの前で白球を追いかけたこと、よくプールに連れて行ってもらったこと…。思い出は数知れない。

 病気を患った後も、病床では虎テレを観戦していたという。配信されるキャンプや2軍戦。1軍でのプレーを誓ったが、それはかなわなかった。策康さんは闘病生活の末、16年4月に他界。「上で投げているところを見せたかったんですけど。でも今はいつでも見てくれているので」。今では横浜へと帰るたびに、必ず墓参りに訪れる。おじいちゃんっ子だった望月が故郷を離れて4年。ようやくきれいな花を咲かせた。

 17年オフに腰部ヘルニアの手術を決断。ケガをしてからは本を読む時間が自然と増え、一枚の紙に文字をしたためた。「利他の心」。誰かのために-忘れないようにと壁に貼り付けた。いつも心配してくれる家族、リハビリ期間を支えたトレーナー…そして活躍を届けたかった祖父へ。「自分だけのためではなくて、支えてもらった人のために勝ちたいと思って」。感謝の思いは尽きなかった。

 三度目の正直だった。ここまで2戦勝ち負けつかず。「今日こそは絶対に勝ちたいという気持ちだった」。強い思いが、白球に乗る。これで3位・DeNAと3・5ゲーム差に縮まった。望月がようやく踏み出した、プロでの一歩。いつだって空を見上げる。これから先も、何度でも。

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