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【矢野燿大という男・中】発言の向こうには常にファンの存在

 06年6月のソフトバンク戦、満塁弾を放ち、ファンの大歓声の中、ダイヤモンドを回る矢野
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 阪神の第34代監督に、今季2軍監督を務めた矢野燿大氏(49)の就任が決まった。現役時代には正捕手として阪神の2度のリーグ優勝に貢献。今季は2軍監督としてファームを12年ぶりの日本一へと導いた。そんな矢野氏の素顔を、デイリースポーツ阪神担当記者が紹介する。

  ◇  ◇

 ちょうど現役引退を発表した直後だったと記憶する。デイリースポーツの企画で、矢野新監督に思い出の瞬間を振り返ってもらった時、1枚の写真を手に取り「これもらってええか?」と頼まれた。それは06年6月3日に、甲子園でソフトバンク・杉内から、満塁弾を放った時のものだった。

 「これ、ほんまにいいよな。自分のことじゃなくて、おれが打ったことで、これだけのファンが喜んでくれてるっていうのがね」

 ダイヤモンドを一周している時に、ファンが感情を爆発させている光景。自身の一発というより、ファンの喜ぶ姿がうれしかった。中日からのトレード移籍後は「中日からの移籍で『星野のスパイか!』とか」と野次(やじ)られたこともあったというが…。端正なマスクに加え熱いプレーでファンに愛され、同じだけファンを愛した。

 根底にあるのは、目線の軸を自分よりも相手側に置ける人柄だ。自分よりもまずは相手。2軍監督を務めた今季、若手記者からの質問に対しても、いつも丁寧に対応していたという話を聞いていたし、実際に何度も目撃している。

 「引退して、仕事でいろいろとインタビューとかをさせてもらってから、質問する難しさというのが分かったわ。だから、質問されたら、分かりやすく答えられるようにしようと思ってね」

 現役引退後に、テレビなどでさまざまな仕事をこなした中で、余計に感じることが多かったという。目の前の相手が誰であっても関係ない。自身が言葉を発する相手の向こうに、ファンの存在が常に見えている。

 「例えば、シーズン全試合に勝てることはないんだし、仮に試合に負けてもその負け方みたいなものもあると思う。負けの中でもファンにどれだけ喜んでもらえるかというね」

 スパイ扱いを受けたのは、もう遠い昔のこと。阪神ファンとの相思相愛は、矢野新監督の中での大きな財産でもあり、それがあるからこそ受諾した決断と言える。いつも抱く感謝の思いは、1軍の試合の中でも示されていく。

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