藤浪、849日ぶり完封 ドラフト制後阪神高卒右腕最速50勝

 「中日0-4阪神」(29日、ナゴヤドーム)

 頼もしい背番号「19」が戻ってきた。阪神・藤浪晋太郎投手(24)が5安打に抑え、849日ぶりの完封勝利。通算50勝目を挙げた。高卒6年目右腕の50勝到達は、球団ではドラフト制後初のスピード記録だ。打席でもプロ初の2安打で1打点。“二刀流”の活躍で、チームを最下位転落危機から救った。

 小さく、だが力強く、藤浪は右拳を握った。六回、この日最大のピンチを抑えた直後、珍しく感情を表に出した。今季初、849日ぶりの5安打、完封勝利。節目の通算50勝はドラフト制導入以降、入団6年目までの球団高卒右腕では、初のスピード到達となった。

 「うれしいですけどね。まだ50(勝)なんで。10も20も30も正直、変わりません。100までいけば、違うかもしれないですけど」

 節目の数字にまだ満足感はない。ただ、投打の活躍はシーズン最終盤、そして来季の確かな希望にもなった。最速154キロの直球を軸に、最終回にも152キロを計測した。今季最多の134球、7奪三振。金本監督は結果に加えて、配球の“変化”を高く評価した。

 「3-1から変化球を投げたり、3-2から投げたりね。最近の藤浪に見られなかったような、自信を持ってフォークを使ったな」

 光ったのは投球だけじゃない。指揮官が「大きかった」と振り返ったのは、2点リードの五回1死二塁で迎えた打席。難敵ガルシアのシュートを捉えると、打球は深々と左中間を破った。登板3試合連続安打&長打でプロ初の2安打。「二刀流もできるんじゃない」と賛辞が続いた。

 これで復帰から登板3戦3勝。活躍の裏に同級生の絆がある。16日・DeNA戦で初の満塁アーチを放ち、勝利につなげた。その前に打撃を指南したのが北條と、大山。藤浪は「ボールの目付けを北條に、バットの振り方を大山に、教えてもらいました」と感謝する。

 大山はこの試合6安打3本塁打の活躍。投球を振り返るため映像を見た時、ヒーローインタビューの言葉を初めて聞いた。「晋太郎をなんとか助けてあげたかった」。球場に響く歓声が素直にうれしかった。故障離脱した北條も懸命にリハビリを続ける。同じ先発には小野もいる。近未来のチームを背負う94年世代。支え、支えられながら成長を続ける。

 チームの最下位転落危機を救い、残る11戦の流れを呼んだ5勝目。「守備にたくさん助けてもらったし、梅野さんがいいリードで導いてくれた。周りに投げさせてもらいました」と、最後まで感謝の言葉が続いた。長かったトンネルに確かな光が差し込む。逆転CSに望みをつなぐ1勝。後半戦のキーマンが、投打の主役だった。

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