才木、変身4勝目 ラストチャンスで7回9K2失点 ナゴド連敗も止めた

 「中日2-5阪神」(22日、ナゴヤドーム)

 阪神の才木浩人投手(19)が意地を見せた。19日のヤクルト戦でリリーフし、中2日で臨んだ先発のマウンドだったが、自己最長の7回を投げ、5安打2失点で7月25日の広島戦以来の4勝目。今回結果が出なければ2軍降格の危機だったが、若虎らしい生きのいい投球でベンチに存在をアピールした。チームのナゴヤドームの連敗も5でストップした。

 まさに気合注入だった。告げられたラストチャンス。すべては後悔しないために-。中2日で臨んだ才木が懸命に右腕を振った。自己最長のマウンドで、自己最多の奪三振。「自分が納得のいく投球がしたいと思っていた」。何度も、何度も汗をぬぐいながらの127球。もう後がなかった男が中日打線を“圧投”した。

 「これで打たれたら、もう一度やり直さないといけない」

 打たれた翌戦の登板前にいつも思う。背負うのはチームの敗戦と自身の課題。それでも、才木は逃げなかった。この日、高橋へ徹底したのは直球攻め。「前回、2打席とも真っすぐをホームランにされているので。真っすぐで抑えたいという気持ちで投げた」。際立つのは思いの強さだ。まさに長所が光った。

 課題の立ち上がりには、いきなりの3連打で1点を失った。それでも続いた無死一、二塁のピンチで、4番・ビシエドを145キロの直球で空振り三振に斬ると、勢いに乗った。二回以降に築いたのは三者凡退の山。四球も与えない。六回2死走者なしから、ビシエドに右前打を許すまで圧巻の投球で魅せた。

 そして自己最長となる七回のマウンドへ。球数はすでに100球を超えていた。福田に本塁打を許したものの、堂々たる7回5安打2失点。自己最多の9奪三振で4勝目を挙げたが、真っ先に口から出たのは仲間への感謝の思いだった。

 「野手の方々が点を取ってくださり、ベンチで声を掛けてくれたおかげ。腕を振ることを意識して、梅野さんが止めてくれると信じて、低めに投げる思いだけでした」

 イニングを無失点に締めくくると、ベンチの最前線で野手全員が戻るのを待った。毎イニング交わす先輩たちとのハイタッチ。支えてくれる心強さに、表情も自然と和らいだ。

 もらった援護点を最後まで守り切るのが俺の仕事だ。「僕はガラスのハートじゃない、ダイヤモンドなので」。かつてそう無邪気に笑っていた右腕が、今や1軍ローテを守る投手になった。それでもまだ19歳。伸び盛りの若虎がまた、経験と成長を得た。

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