JFKを担った男は今も猛虎のために 阪神プロスカウト久保田智之氏

 携わる形は変わっても今もチームのために-。屈強な阪神のリリーフ陣「JFK」の一角を担い、05年にはストッパーとしてリーグ優勝に貢献した久保田智之氏(37)は現在、球団編成部プロスカウト担当として猛虎を支えている。

 不安を抱いてのスタートだった。14年に引退してから打撃投手を経て17年からプロスカウト担当に。球団から話を受けた際は「自分にできるかなと」。2軍の試合を中心に視察する日々。「(自分でプレーするのと)全然違います。新鮮さもあり、違った面から野球を見るということで勉強になってます」と懸命に業務に取り組んでいる。

 携帯する必須アイテムは紙とペン、ストップウオッチに加えて選手のプレーなどを録画するビデオ。さらに「選手名鑑。経歴も結構、大事な部分でもあるので」。情報を頭に入れてつぶさにプレーを目で追っている。

 ただ、根底にある思いは、後輩に台頭してほしいという願い。「一番はタイガースの生え抜き選手に頑張ってもらいたい。(トレードなど自身の仕事が)ないならないでいいのかなと。ここって時こそ自球団の生え抜きが」。タテジマの後輩を応援する気持ちは変わらない。

 今も縁を感じる。共に戦った藤川球児は現役で、ジェフ・ウィリアムス氏は駐米スカウトを担当。「同じチーム内で一緒に3人が球団に残っているという」。聖地でリーグ優勝を決めた05年9月29日・巨人戦で胴上げ投手。最後は阿部を左飛に封じた。「矢野さん(現2軍監督)に言われたんです。『三振で終わらせるぞ』と。できなかった(笑)」。07年はシーズン90試合登板でNPB記録を更新した。

 オフには自宅のある大阪・高槻で野球教室を開催。現役時代から続けており、野球未経験の子供に競技へ触れてもらいたい思いから始めた。「引退してもできないか」と、球団と高槻市の間に入り自分で段取りしてきた。「本当に小さい子が多くて」。うれしそうにそう語る笑顔が印象的だった。(デイリースポーツ・折原良輔)

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